相続法改正の影響 Ⅶ 登記の重要性

posted by 2019.02.1

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 相続法改正の最終回は登記の重要性に関わる改正です。

 

Ⅶ 相続分を超える登記(2019.7.1~)

 

① 目的
 相続などで不動産の名義が変わった際の登記は義務ではありませんが、第三者に対して「自分のものだ」と主張するには登記が必要で、これを「対抗要件」と言います。
ただ相続において遺言で「相続させた」場合にはこれまで対抗要件は不要でした。
しかし登記せずに放っておくと、知らない間に他人の名義になる詐欺などのリスクがあり、登記制度そのものの信頼性にも関わるため、一部対抗要件が必要とされました。

 

内容
法定相続分を超えて相続した財産については、登記をしていないと第三者に対抗できない。

・遺言だけでなく、遺産分割など取得原因にかかわらず適用。

 

③ 税金
 登記に関する改正であるため、相続税の計算には影響ありません。

 

 相続税の申告期限は亡くなってから10か月以内ですが、登記にはそのような期限はありません。登記すると登録免許税もかかるし、担保に入れてお金を借りる予定もないし、というような場合には登記が放置されることがあります。

 しかし、登記を放置しておくことには様々なリスクがあります。

権利関係が複雑化(いざ登記しようと思った時に代替わりで相続人が増えていて数十人ものハンコが必要になることも)。

売却することも担保に入れることもできない。

・誰の不動産か分からず、空き家問題や災害復旧の障害になる可能性。

 こういったことも踏まえ、相続登記を義務化しようという話も検討されていて、今回の相続法改正もその流れの一環と考えられます。

 

 7回にわたって民法の相続法改正について確認してきました。
時代の変化に応じた改正で、多くの方に影響のある改正と言えます。
利用できるものは利用しながら、争続やリスクに備えていきましょう。