相続法改正の影響 Ⅵ 特別の寄与

posted by 2019.01.31

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 相続法改正の6つ目は特別の寄与に関するものです。

 

Ⅵ 相続人以外の特別の寄与(2019.7.1~)

① 目的
 長男の妻が義理の親への介護でどれだけ貢献しても相続人でないため、財産を相続することができませんでした。
代わりに長男の取り分を増やすことが実務上は行われていましたが、もし長男が先に亡くなっていればそれもできません。
そこで相続人以外の人が介護等で貢献した場合に、金銭で「特別寄与料」を請求できるように改正されます。

 

② 内容
<対象者>
相続人以外の親族(6親等内の血族、3親等内の血族。子の配偶者、孫、甥姪、兄弟、いとこ、はとこなど。事実婚やその連れ子、同性パートナーは対象外)。

無償で介護などの労務を提供。

財産の維持、増加への貢献が認められる。

 

<金額>
民間の介護事業者に外注した場合の費用が目安(予定)。

・労務の提供が対象で、資金提供など財産上の貢献は含まない。

<注意点>
介護の事実を証明できる客観的な記録が必要(領収書、介護記録、メールのやり取りなど)。

・請求期限は「亡くなってから1年以内」と「亡くなったこととその相続人を知った日から6か月以内」のいずれか早い日。

 

③ 税金

<受け取った側>
・相続税の対象になりますが、相続人でないため2割加算の対象となり、通常より税額は高くなります。

<支払った側>
・支払った相続人の相続財産のマイナス項目になります。

・一旦相続税を申告した後に特別寄与料を支払った場合には、確定した日から4か月に更正の請求をすることで払った相続税の還付を受けることができます。

 

 従来の「特別の寄与」もハードルが高い上にもらえる金額も微々たるものだったので、その傾向は改正後も大きくは変わらないと考えられます。
介護などの貢献に対して報いてあげるのであれば遺言に書いておくことがより確実な方法と言えます。