決算書の項目の中に「未払費用」と「未払金」というものがあります。
言葉のニュアンスは似ていますが、違うものなのでしょうか。
また違うならどの程度厳密に分ける必要があるのでしょうか。
税金の計算という点で言うと、あまりシビアに考える必要はありません。
科目の違いで利益は変わらないため、税務上は『どっちでもいい』ということになります。ただし会計上は違いがあります。
<未払費用>
・定義:継続してサービスの提供を受けていて、月末や決算期末時点で支払いがまだのもの
・実務的な判定:請求書がなく債務を確定する書類がないもの
・例:給料、社会保険料、家賃、水道光熱費、利息など
<未払金>
・定義:単発の取引で、モノやサービスの提供が、月末や決算期末時点で終わっているもの
・実務的な判定:請求書が届いていて、支払うべき債務が確定しているもの。ただし仕入に関するものは「買掛金」
・例:固定資産や有価証券の購入費、消耗品費、外注費、カード払いなど
税務上関係してくるのは、『どこまで未払計上していいのか』という観点です。
<未払金>
・請求書あるいは納品書でモノやサービスの提供が終わっているかが判断できるので、それに従います。
<未払費用>
・給料が15日締め末払いの場合、決算の時点で半月分は発生しているものの未払なので未払費用として計上できます。
・決算賞与については、決算期末までに支払えば当然経費になりますが、決算後に払う場合には要注意です。決算期末までに従業員に通知して、決算で損金経理をし、決算後1か月以内に支払えば、その決算の経費にすることができます。
・社会保険料については、例えば4月分給料に対応するものは5月末に支払いますが、4月末時点で金額が確定しているため、未払い計上できます。
・一方、決算賞与の社会保険料については未払計上ができません。例えば4月決算で5月末に支給した場合、社会保険料の確定は5月末で、支払いは6月末になります。4月末で従業員に通知しているので確定していると考えてもよさそうなものですが、社会保険料は支払日を基準に考えるため、扱いが異なります。
決算賞与の社会保険料も同じように未払計上したくなるところなので注意しましょう。