平成31年度税制改正大綱 ⑧ 最終回

posted by 2018.12.28

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 税制改正大綱の最終回は『あとがき』です。

 末尾に『検討事項』というページがあるのですが、今年はいろいろ事情があって改正できなかったけれど来年こそ!と考えている項目が挙がっています。
今後の方向性を読む上で参考になるので主なものをご紹介しておきます。

 

1.年金課税に関して公平性の確保、企業年金・投資課税・給与課税とのバランスに留意し、拠出・運用・給付を通じて総合的に検討する。

趣旨としては年金への課税は現在優遇されているので増税したいということだと考えられます(昨年からの継続)。

 

2.金融所得課税の一体化について租税回避行為を防止しつつ検討する。

総合取引所を作って金融市場を活性化させるために一体化していきたいという趣旨ですが、あまり進捗は無いようです(昨年からの継続)。

 

3.小規模企業の税制について、所得控除や人的控除を通じて個人と法人成り企業とのバランスを取る。

法人成りして節税する行為を防ぎたいという趣旨で、少しずつ法人成りのうまみは削られつつあります(昨年からの継続)。

 

4.ひとり親への税制対応については来年結論を得る。

今年度の改正で「未婚の父母」を個人住民税の非課税措置に加えることとされましたが、寡婦(夫)控除は認められず、臨時の「特別給付金」で対応することとなりました。
議論する時間がなかったものの喫緊の課題だけに支給を先行させる形になっているので来年には整備するようです。

 

5.国際化・電子化における適正な課税のため、方策を引き続き検討する。

今年度の改正でも過大利子支払税制移転価格税制の見直しがありましたが、いたちごっこなところがあるので引き続き検討されます。

 

6.自動車関係諸税については保有から利用への変化に対応するため、地方財源を確保しつつ、中長期的な視点で検討を行う。

カーシェアや電気自動車の普及により、保有や排気量を基準にすると税収が確保できなくなっているため、ドイツのように利用を基準にすることが検討されています。
ただしGPSで走行距離を測定することにはプライバシーの問題も絡むので紆余曲折はありそうです。

 

7.ゴルフ場利用税については今後長期的に検討する。

スポーツとして普及させるための廃止したいという話は前からありますが、約460億円の税収の代替が見つからないため難しいようです。
ゴルフは東京オリンピックでの盛り上がりも期待されるだけに、このタイミングでダメなら今後もちょっと厳しいかも知れません。

 

 税制改正大綱シリーズに長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。

 なお事務所は明日29日から1月6日まで年末年始休暇とさせていただきます。ご迷惑をおかけしますが、宜しくお願い申し上げます。

 みなさまよいお年を。