青色申告と欠損金

posted by 2018.10.24

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 前回の続きで法人の青色申告の特典について見ていきます。
改正も多い③の欠損金の繰越控除は少し詳しめに確認します。

 

① 特別償却・税額控除

 設備投資、研究開発、給料増加などに関する特別償却や税額控除の特例はどれも青色申告が条件です。

 

② 少額減価償却資産の特例

 備品などの設備投資を経費にできるのは10万円未満が原則ですが、青色の中小企業者等であれば30万円未満まで可能です(年間合計300万円まで)。

 

③ 欠損金の繰越控除

 損失が出た場合に繰り越して翌年以後の黒字と相殺できる制度です。
特に赤字の出ることも多い設立初年度は確実に青色申告にしておきたいところです。

 この欠損金の繰越控除は何度か改正があって年数が変わっているので確認しておきます。

・H13.4.1以後開始事業年度~:7年
・H20.4.1以後終了事業年度~:9年
・H30.4.1以後開始事業年度~:10年

 年数が伸びるのに伴ってそれを証明するための書類の保存期間も長くなっています。

 欠損金を繰越しできる年数が伸びるとそれだけ相殺できるチャンスは増えるので減税と言えば減税です。ちなみにアメリカは20年、イギリス、ドイツ、フランスでは期間無制限となっているので、それを倣って期間を伸ばしているということもありそうです。

 ただし大企業(100%子会社など含む)に関しては増税も同時に行なわれていて、赤字と黒字をそのまま相殺できません。
赤字を繰り越せる期間は中小法人等と同じですが、黒字のうち一部は相殺できず、赤字が多額にあっても法人税は少しは発生するようになっています。
この改正は金融機関などが巨額損失を計上したあと、長年にわたって法人税を払っていなかったことへの批判が高まったことが背景としてあります。
相殺できる割合はH24.4.1開始事業年度の80%から始まり、65%、60%、55%と段階的に減り、H30.4.1開始事業年度からは50%になっています。

 

 欠損金の繰越控除は少しややこしいですが、納税額に影響しますので適用年数や限度額について確認しておきましょう。