青色申告の取り消し基準

posted by 2018.10.23

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 前回の続きで法人の青色申告の取り消しについて見ていきます。
どういった場合に青色申告は取り消されるのでしょうか。
一言で言うと”脱税”ですが事が重大なだけに判断にバラつきが出ても困るので『事務運営指針』として具体的に公表されています。

 

① 帳簿書類の非開示

税務調査において帳簿書類の開示を拒否した場合、あるいはそもそも帳簿が存在しない場合が取り消し事由に該当します。
たまたま部分的に失くしてしまった場合はしょうがないですが、何度請求されても帳簿を全く開示しないとなると税務署も調べようがないので取り消しを行ないます。

 

② 帳簿備え付け等の指示に従わない

帳簿の備え付け、記録、保存が法令に則っていない場合や改善に従わない場合が取り消し事由に該当します。
正しく税金を計算するだけの情報がないと、青色申告を取り消した上で推計課税を行ないます。

 

③ 仮装・隠蔽

事実を曲げて処理することが”仮装”、儲けを隠すことが”隠蔽”でいわゆる脱税ですが形式基準があります。
更正額(修正額)の50%超が仮装・隠蔽である場合が取り消し事由に該当しますが、仮装・隠蔽部分が500万円未満であればセーフです。

ただし二重帳簿作成など悪質な場合、仮装・隠蔽を繰り返す場合、基準ギリギリの仮装・隠蔽を続ける場合は上記形式基準に関係なく取り消しとなります。

 

④ 無申告・期限後申告

2期連続で期限内に提出しなかった場合2期目から取り消しです。

 

 このような基準がありますが、やむを得ない場合の救済措置もあります。
役員等が事情を知り得なかった場合で、再発防止のための監査体制を強化するなど今後の適正な記帳及び申告が期待できる場合は、青色申告は取り消されません。

 普通に申告をして税務調査にも誠実に対応していれば青色申告の取り消しに合うようなことはまずありません。
あるとすれば休眠に近いような会社があって申告をうっかり忘れてたぐらいでしょうか。

 次回は青色申告の特典について確認します。