サラリーマンの節税 ② 特定支出控除の改正

posted by 2018.09.28

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 前回の続きでサラリーマンにも経費を認める「特定支出控除」の改正について見ていきます。
この改正は昨年末に出された平成30年度改正によるものなので、実際に使えるようになるのは平成32年からと少し先です。

 

① 範囲の拡大

≪従来≫
・通勤費、転居費、研修費、資格取得費、単身赴任の帰宅旅費、勤務必要費(図書費・衣服費・交際費等)

≪改正で追加≫
・出張旅費
・単身赴任の帰宅旅費の上限(1ヶ月4往復まで)撤廃
・単身赴任の帰宅旅費のガソリン代と高速代

 

② 給与所得控除縮小の影響

≪従来≫
・給与所得控除の1/2(103万円なら32.5万円、400万円なら67万円)

≪改正≫
・給与所得控除の10万円縮小に伴い、必要な経費額も減少(103万円なら27.5万円、400万円なら62万円)

 ②は特定支出控除の改正ではありませんが、給与所得控除が改正で縮小されたため、特定支出控除のハードルが5万円下がっています。
なお給与所得控除の縮小だけだと増税ですが、基礎控除が10万円アップしているため、一般の方には中立です。

 

 大幅な改正ではなく小出しにしているため、これを機会に特定支出控除を利用する人が急に増えるとは思えませんが少しは使いやすくなりそうです。

 ただ出張旅費、交際費、図書代、通勤費などが個人の確定申告で引けるとなると会社としては支給しなくなるのでは、という懸念はあります。

 

 副業を含めた働き方の変化、確定申告する人が急増することによる税務署の処理能力の問題、会計ソフトの機能向上などいろんな点が関わってくるので、特定支出控除がどうなっていくのかまだ見えにくいところはありますが、納税意識を高める(税金を払っていることを実感する)という点では広がって欲しい制度ではあります。