広大地の改正 ⑥増税への対策

posted by 2017.09.28

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 改正で広大地の評価が上がってしまう場合はどう対応すべきなのでしょうか。
来年から評価が上がるなら年内に贈与することが考えられます。

 

 例1の土地であれば広大地として補正して評価は5500万円になります。

(5500-110万円)×55%-640万円=贈与税2324.5万円

 税率55%というと最高税率なのでこれは現実的ではありません。

 

 そこで贈与税の負担を抑えるために精算課税贈与の適用が考えられます。

(5500-2500万円)×20%=600万円

 精算課税なので相続時に足し戻す必要はありますが、その際の金額は贈与時の5500万円で固定されます。

 

 続いて精算課税贈与した場合何もしなかった場合の相続税を比較してみます。
路線価は変わらず、相続人は子2人、財産は他に動産が2億円あるとします。
土地は広大地ではなく地積規模の大きな宅地となり評価額は7800万円に上がります。

<精算課税贈与した場合>

財産額:5500万円+2億円=2億5500万円

相続税:5120万円

<精算課税贈与せずに土地そのままで相続を迎えた場合>

財産額:7800万円+2億円=2億7800万円

相続税:6040万円-贈与税600万円=5440万円(+320万円)

 

 広大地評価が使える今年のうちに精算課税贈与をした方が有利という結果になりましたが注意点もあります。

精算課税贈与を使うと暦年贈与が使えません。長期的には相続時に足し戻しのない暦年贈与が有利なケースもあります。

相続時に路線価が大幅に下がっていれば逆効果。

・登録免許税や不動産取得税など贈与の方が移転コストが高い。

 

 注意点も踏まえて広大地が使える年内に贈与をするかどうかを判断していくことになります。
評価額が下がるケースもあるのでまずは評価がどう変わるか、そして相続税全体として負担はどうなるかをシミュレーションしながらご検討下さい。