社会保険の加入強化

posted by 2017.03.30

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 厚生労働省が飲食・理容業の厚生年金の加入を督促していく、という報道がありました。
どういうことかと言うと飲食業や理容業では営業許可が必要なのでその申請の際に厚生保険の加入状況を確認し、加入していなければ日本年金機構に通報する、というものです。
また厚生保険には加入していなくても所得税は源泉徴収して納付しているので国税庁からその情報を年取り寄せて未加入の状況を調査しています。
現状年2回、国税庁から情報提供されていますがこの回数も大幅に増えるようです。

 

 全国に約400万の企業(法人と個人事業主)があり、そのうち約80万社が厚生年金に未加入と言われています。
ただし、加入が義務付けられる場合と任意の場合があるので要件を確認しておきます。

<事業形態>

法人:役員、従業員が1人でもいれば加入義務あり。

・個人:常時5人以上が働いている個人事業所で加入義務あり。

※例外:5人以上でも任意適用となる個人事業所(主なもの)
・第一次産業(農業、漁業等)
・サービス業の一部(宿泊、飲食、旅館、理容、娯楽、スポーツ等)
・士業関係(弁護士、税理士、社会保険労務士等)

 今回の報道は飲食業や理容業に関して法人は加入を徹底し、個人事業所は加入を推奨していくということだと思われます。

 

<勤務時間>

 パート、アルバイトの場合は正社員の3/4以上の労働時間であれば加入義務があります。
正確には1週間の所定労働時間及び1ヶ月の所定労働日数が3/4以上であれば該当します。
以前は1日の労働時間が3/4未満なら加入義務はありませんでしたがこの基準はなくなりました。

 また平成28年10月以降は3/4未満でも次の要件をすべて満たせば加入義務があります。
常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤務。
・週の所定労働時間が20時間以上。
・雇用期間が1年以上の見込み。
・賃金の月額が8.8万円以上。
・学生でない。

 

 営業許可など商売面からの締め付けやマイナンバーによる情報共有で厚生年金の加入強化は今後も進むと思われます。
未加入の場合と比べるとかなり負担感はありますが、福利厚生や人材募集面でのメリットを鑑みて、受け身の加入ではなく攻めの加入を検討するのも一つかと思います。