相続税についてあまり話題にはなってませんでしたが何点か改正がありました。
「適正化」という表現でどっちに転ぶか分からないものもあるので「増減税」という表現にしています。
① 海外居住期間の延長
<現行>
被相続人と相続人が海外に5年超住んでいれば、海外にある資産に関して相続税や贈与税がかかりませんでした。
<改正>
現行の5年という期間が10年に延長されます。
海外に移住して5年経った時点で海外にある預金や株を贈与して戻ってくるというような節税が行なわれていましたが、期間が長くなることでやりにくくなります。
平成29年4月1日以後の相続等から適用されます。
② 非上場株式の評価の適正化
<現行>
類似業種比準方式について、比べる同業の株価を相続開始前3ヶ月間と前年平均の中から最も低いものを採用していました。
また配当、利益、純資産を同業と比べる際には、利益を重視して配当1:利益3:純資産1の割合で計算していました。
<改正>
同業の株価については相続開始前3ヶ月間、前年平均だけでなく、前2年平均も使うことになりました。
低いものを選ぶため、ここ1年で急激に株価が上がったものがあれば改正で株価は下がります。
また配当、利益、純資産の比重については昔に戻って、配当1:利益1:純資産1となりました。
利益が多く出ている会社に関しては株価は下がります。
平成29年1月1日以後の相続等から適用されます。
③ 広大地評価の明確化
<現行>
1000㎡(都市部では500㎡)を超える土地の評価については広大地として面積に応じて比例的に減額(42.5~65%)されていました。
広すぎる土地を戸建て住宅にする場合は、道路を設ける必要があるなどすべてを効率よく使い切れないという理屈で大幅な減額が可能でした。
<改正>
面積で単純に計算するのではなく土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直し、適用要件も明確化されます。
計算方法としては昔に戻る印象です。
適用要件については現行では「グレーなものはセーフ」という印象で判定が難しいケースもありましたが、明確化されるようです。
平成30年1月1日以後の相続等から適用されます。
この中では広大地の評価が注目されます。
関係する人は限られるものの評価の変動が大きいためです。
詳細が分かってきましたらまた増税か減税かを検証していきます。