保険金を受け取った場合の税務上の取り扱いは個人と法人では異なる部分があります。
1.ヒトの損害保険金
① 個人:非課税
入院や手術など身体の傷害に基因して支払を受ける保険金及び心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金は非課税とされます。
なお医療費控除は実質負担で計算するため、医療費に紐づく保険金は差し引きます。
医療費以上に受け取って”儲かった”ような状態になっても他の医療費から差し引くわけではなく、直接対応する医療費がなくなるだけです。
② 法人:課税
特に非課税とする規定もないことから、雑収入として課税されます。
実際には受け取った保険金を「見舞金」として支給するケースが多く、実質的には課税されません。
なお見舞金として支給するには「福利厚生規程」に基準を書いておくべきでしょう。
従業員の福利厚生という意味で医療保険や特約に加入することはありますが、役員の場合は法人だと課税されるという特徴から個人で加入することも多いです。
2.ヒトの生命保険金
① 個人:課税(相続税)
生命保険金は相続税の課税対象であるため、所得税はかかりません。
非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)があるため、その範囲内なら相続税はかかりません。
非課税枠を超えても他の財産と合わせて相続税全体の非課税枠(3000万円 × 法定相続人の数)の範囲内なら相続税はかかりません。
なお、被保険者≠契約者(保険料負担者)の場合は契約者から受取人への贈与という扱いになり、多額の贈与税がかかります。
② 法人:課税(法人税)
特に非課税とする規定もないことから、雑収入として課税されます。
実際には受け取った保険金を「死亡退職金」として支給するケースが多く、実質的には課税されません。
なお退職金として支給するには「退職慰労金規程」に基準を書いておくべきでしょう。
モノの損害保険については次回へ続きます。