不動産業の相続 ③ 消費税

posted by 2026.04.8

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 前回の続きで不動産業をしていた個人が亡くなった場合の消費税について見ていきます。

 

3.消費税

① 納税義務

 消費税の納税義務は2年前の課税売上高が1000万円を超えるかで判定しますが、相続の場合はやや複雑です。

<相続の年>

・亡くなった方(被相続人)の課税売上高だけで判定

<相続の翌年と翌々年>

・被相続人と相続人の課税売上高を合算して判定

<未分割の場合>

・被相続人の課税売上高を法定相続分で各相続人に割り振って判定

<共有や物件ごとの相続の場合>

・被相続人の課税売上高を相続の状況に応じて各相続人に割り振って判定

 

② 届出の効力

 被相続人が届出を提出して選択していた「課税事業者」「課税期間の短縮」「簡易課税」などは一代限りのもので相続人には引き継がれません。
特に注意が必要なのが「簡易課税」です。

<簡易課税選択届出書の提出期限>

≪原則≫

・適用を受けようとする年の前年12/31まで

 

≪例外≫

・相続があった年の12/31まで

 なお、相続人が以前から別の事業をしていた場合は、被相続人が簡易課税を選択していたことが例外が使える条件となります。
相続人が被相続人の不動産業を引き継いで新たに事業を始めた場合は、例外が条件なしで使えます。

 

≪特例≫

 提出期限の1か月以内(12月中)に亡くなったなどやむを得ない事情があり、かつ前年12/31までに提出できなかった場合は「簡易課税選択届出に係る特例承認申請書」を提出することにより、特例的に簡易課税を適用できます。

 

③ インボイス

 インボイスも相続で引き継がれないため、相続人が新たに登録申請する必要があります(登録自体は義務ではなく任意)。

 なお、登録までのタイムラグを埋めるために最長4か月の「みなし登録期間」があります。
亡くなった日の翌日から次のいずれか早い日までの期間については、相続人がインボイス登録事業者とみなされ、被相続人のインボイスで発行できます。

・相続人がインボイス発行事業者の登録を受けた日の前日

・被相続人が死亡した日の翌日から4か月を経過する日

 

 相続があった場合の消費税はかなり複雑ですが、特に小規模の不動産業では簡易課税が選択できるかどうかで税額に大きな違いがあるため、注意が必要です。