前回の続きでモノの保険金に関して、個人と法人の違いを見ていきます。
3.モノの損害保険金
① 個人:非課税
損害を補填するという性格から受け取った保険金は非課税とされます。
かかった修繕費を上回って得した場合であっても非課税です。
保険金が非課税である以上、かかった修繕費についても経費にすることはできません。「事業主貸」などの科目で経費から外します。
年をまたいで翌年に修繕する場合などは間違って経費にしないよう気をつけましょう。
原則は非課税ですが、例外的に課税されるものもあります。
・在庫商品に対する損害保険金
・休業期間中の収益補償金
・経費補填のための損害賠償金
在庫に関しては、保険金の受け取りが商品を売ったのと同じ効果があるため、所得税が課税されます(消費税は使える状態での引き渡しなら課税)。
収益補償金については、売上げを補償する性格があり、休業期間中の人件費等が経費になっていることから両建てで計上し、所得税が課税されます(消費税は非課税)。
必要経費を補填する損害賠償金についても収入として課税されます(消費税は非課税)。その分対応する支払いも必要経費になります。
② 法人:課税
ヒトの時と同様、受け取り自体が収入の一つとして課税されます。
その保険金を修繕に充てた場合には経費になるので、その部分には実質的に課税はありません。
保険金で建て替えなど固定資産を購入した場合には、修繕費と異なり、取得価額を直接減額して収入から外します(圧縮記帳)。
個人と異なるのは差額の取り扱いです。
保険金>修繕費となった場合の差額は得したことになるので法人税が課税されます。
法人は割と理屈がシンプルですが、個人は内容によって課税か非課税か変わってくるので中身をしっかり把握した上で処理するようにしましょう。