税制改正大綱の最終回は末尾に記載のある”検討事項”です。
ここには改正したいけど時間切れや政治的要因などで繰り越されたものが載っています。
今後の方向性を読むヒントになるので内容を見ておきます。
1.暗号資産
現状雑所得扱いで税負担が大きいため、投資家保護や報告義務の整備等を前提に見直しを検討(減税方向)
2.前年度とほぼ同じ内容
・年金課税 :拠出・運用・給付を通じて課税のあり方を総合的に検討
・金融所得課税 :デリバティブ取引含めて更なる一体化
・小規模企業税制:個人と法人のバランス、各種控除の見直し
・原油用石油製品等に係る免税、還付措置の本則化
・帳簿の電子化と適正公平な課税の実現
・医療への優遇のあり方を検討:事業税非課税や軽減税率
・インフラ企業の外形標準課税のあり方
・新築住宅の固定資産税減額:住生活の安定を確保する観点から、地方税収の安定を前提にそのあり方について検討
3.検討事項以外で先送りされたもの
① 通勤手当
・物価上昇を踏まえ、非課税限度額を迅速に見直し
② 道府県民税利子割
・利息の5%部分は金融機関の所在地の税収になっているが、納税者の住所地にする方向で来年度に結論を得る。
③ 退職所得課税
・勤続年数20年超で控除が増加することが働き方の多様化に合っていない(縮小の方向)。
・私的年金共通の非課税枠や私的年金を管理する退職所得勘定を含めて方向性や案を検討
④ 人的控除
・高校生年代の扶養控除やひとり親控除については、児童手当も出ているため、来年度以降に結論を得る。
⑤ 記帳水準の向上
・ソフトも普及していることから、青色申告制度の見直しも含めて記帳水準向上に向けた検討を行う。
⑥ 自動車関連諸税
・車体課税については負担軽減を見直し、重量及び環境性能に応じたあり方を検討し、来年度に結論を得る。
・所有ではなく利用に応じた負担となる課税の枠組みについて来年度に結論を得る。
今年は政治的な要因もあり、先送りされた項目が多かったように思います。
来年度に結論を得る、とはっきり書かれているものも多いため、来年は様々な改正が一気に実施される可能性もあります。