税制改正大綱の10回目は資産税関係です。
1.事業承継税制の緩和
<背景>
事業承継をスムーズに行うために株式に関する相続税を軽減する特例として事業承継税制があります。
その要件の1つに後継者が3年以上役員であることがありますが、特例措置を使う場合にはこの要件が撤廃されます。
<改正内容>
・後継者が贈与の日まで継続して3年以上役員⇒贈与の直前に役員であればOK
・100%猶予される特例措置に限った緩和
・特例措置の贈与期限は令和9年末で今後も改正は無し(逆算すると役員3年を確保できないため改正)
・個人版事業承継税制も同様に改正。3年以上事業に従事⇒贈与直前に従事していればOK
<適用時期>
・令和7年1月1日以後の贈与から
2.固定資産税減免の延長
<概要>
中小企業者等が先端設備等の導入計画の認定を受けて一定の設備投資※1をした場合には固定資産税が軽減※2されます。
※1:一定の設備投資
・機械装置:160万円以上
・工具器具備品:30万円以上
・建物附属設備:60万円以上
※2:固定資産税の軽減
・最初の3年間1/2減免
・令和5年4月1日~令和6年3月31日取得分は最初の5年間2/3減免
・令和6年4月1日~令和7年3月31日取得分は最初の4年間2/3減免
<改正内容>
・要件の追加:給料の1.5%増額を計画に記載して従業員にも表明
・上乗せ要件:給料の1.5%増額⇒3%増額
・減免の拡充:最初の5年間3/4減免
<適用時期>
・令和7年4月1日~令和9年3月31日に事業共用
事業承継税制の特例措置に関しては特例承継計画の提出期限がこの3月末に迫っています(延長なし)。
適用を受けることを考えている場合はまず3月までに計画を提出しましょう。
あくまで計画であって必ずしも事業承継税制を使う必要はありません。