株式投資と相続税 ① 上場株式

posted by 2024.04.9

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 iDeCoやNISAの普及により株式投資をする人が増えています。
運用面や所得税の節税面のメリットに注目されがちですが、相続が起こった場合はどのように評価されるのでしょうか。

株式投資には、上場株式、投資信託、公社債、FX、暗号資産など様々なものがありますので種類ごとに見ていきます。

まずは最もメジャーな【上場株式】から。

 

1.上場株式

 株式市場において日々時価がつきますので、その時価を使って評価します。
亡くなった日の終値が基本ですが、日々変動するだけに評価の安全性を考慮して、次のうち最も低い金額で評価します。

・課税時期(亡くなった日や贈与した日)の終値

・課税時期の属する月の終値の月平均

・課税時期の属する月の前月の終値の月平均

・課税時期の属する月の前々月の終値の月平均

 

<例>トヨタ株を100株持っていて3/15に亡くなった場合

・3/15終値   3488円

・3月の終値月平均 3675円

・2月の終値月平均 3353円

・1月の終値月平均 2876円

最も低い「2876円 × 100株=287,600円」という評価になります。
株価の調べ方ですが、日別の終値はヤフーファイナンスなどのサイトで検索できます。月平均は日本取引所のサイトの「月間相場表」で見れば手計算せずに済みます。
証券会社によっては終値月平均の載った資料を出してくれることもあります。

 

 なお、3月~6月に相続があった場合など調整が必要なケースがあります。
3月決算の場合、3月31日(配当基準日)に株を持っていれば配当を受け取ることができます。
実際にはタイムラグが3日あるため、3月31日当日に買っても配当を受け取れません。このタイムラグの影響で配当基準日の直前に株価が下落することがあります。
これを『権利落ち』と言いますが、正常な株価とは言えないため、権利落ちの前の株価で評価します。

 また3月決算の場合、実際に配当をもらえるのは6月下旬になります。
4月に亡くなった場合、配当をもらえることは確定しているもののまだもらえてないため『配当期待権』を別に評価する必要があります。
さらに7月になって配当をもらえる状態なのにまだ受け取っていない場合は『未収配当金』として評価します。

 

 3月決算を例で説明しましたが、決算月によって変わるので、評価する際は決算月を確認するようにしましょう。

(つづく)