標準産業分類の改定

posted by 2024.04.8

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 10年ぶりに日本標準産業分類が改定され、今月4月1日から施行されています。

 標準産業分類とは総務省が公表する統計基準で、昭和24年に設定されて以来、今回が14回目の改定になります。
全ての経済活動が、大・中・小・細分類の4段階で分類されており、例えば税理士であれば、「大:学術研究、専門・技術サービス業」「中:専門サービス業(他に分類されないもの)」「小:公認会計士事務所、税理士事務所」「細:税理士事務所」となります。

 今回の改定では「食品スーパーマーケット」が新設されるなどコロナ禍を含め、10年分の様々な社会変化が反映されています。

 

 日常生活ではあまり馴染みのない標準産業分類ですが、税金の計算には影響しています。
代表的なものが相続税や贈与税での株価評価消費税の簡易課税です。

 

<株価評価>

 同族会社などの非上場株式は、自社の財産内容をベースにした純資産価額同業の平均である類似業種比準価額とを組み合わせて評価します。
類似業種比準価額は上場企業の株価を元に毎月分を国税庁が公表しています。
株価表は業種ごとに株価が定められていますが、この業種は標準産業分類をベースとしていることから、標準産業分類が改定されると株価表の業種も変わります。
ただし株価表は年単位で公表されていることから、4月から業種区分を変更することに無理があり、株価評価への反映は令和7年1月1日からになります。

 なお、株価表には大中小に分けて株価が記載されていますが、該当すればどれを大中小のどれを使用しても構いません。
したがって株価が最も低くなるものを採用することになります。

 

<簡易課税>

 消費税は受け取った消費税から支払った消費税を控除して差額を納付するのが原則です。
ただし中小企業の事務負担を考慮して、2年前の課税売上高が税抜5000万円以下であれば、売上だけから消費税を計算できる”簡易課税”を選択することができます。

 簡易課税は業種によって売上から控除する率が決まっていて、第1種:90%(卸売)、第2種80%(小売)、第3種70%(製造)、第4種60%(飲食)、第5種50%(サービス)、第6種40%(不動産)となっています。
かっこ内が代表的な業種ですが、実際には判定が難しいものもあるため、標準産業分類をベースにして判断することになります。