定額減税 ② 給与

posted by 2024.03.22

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 前回の続きで定額減税のうち、サラリーマンのケースについて見ていきます。

 サラリーマンについては天引きされる所得税(+住民税)が減額されることにより、6~12月の手取りが少しずつ増えることになります。

 

1.時系列

令和6年6月1日を基準に定額減税の暫定額を計算(3万円 × 人数)

② 令和6年6月以後最初に支払う給料や賞与から天引きする源泉所得税を減額(月次減税)

③ ②で引き切れない金額を7月以後12月まで順次控除

④ 年末調整で減税額を確定させて精算(年調減税)

⑤ 引き切れていいなくても令和7年以後には繰り越さない

 

2.月次減税

<対象者(本人)>

・令和6年6月1日現在勤務している(6/2以後の入社は月次減税なしで年調減税のみ)

甲欄適用の居住者

・合計所得金額が1805万円を超える人も一旦強制的に減税(年末調整や確定申告で取り消されて徴収)

・退職金から月次減税はできないが、確定申告すれば定額減税を受けられる(所得税ある場合)。

 

<対象者(扶養親族等)>

・最初の月次減税事務を行うときまでに提出された扶養控除等申告書で確認(通常は令和5年末に提出済)

・同一生計配偶者:年間の合計所得金額が48万円以下(給料なら103万円以下)が対象。通常の所得税は給料150万円以下で配偶者控除使えるが、定額減税は103万円以下で基準が異なる。また本人の所得金額が1000万円超で配偶者控除使えないが、その場合の配偶者分も定額減税の対象にはなる。

・扶養親族:年間の合計所得金額が48万円以下が対象。通常の所得税は16歳未満は扶養控除ないが、定額減税では対象になる。

・通常の所得税と基準が異なるため、同一生計配偶者や扶養親族を正しく把握できていない可能性がある(記入が省略されている等)

「扶養控除等申告書」の再提出または「源泉徴収に係る申告書」を別途提出してもらうこともできる(義務ではないので会社としては案内して提出を待つことになる)。

 

3.年調減税額

<対象者(本人)>

令和6年12月31日現在勤務している(6/2以後の入社はここで対象に)

甲欄適用の居住者

・給料2000万円超は年末調整自体できないので年調減税額の計算はしない。確定申告で月次減税分を訂正することになる。

・給料が2000万円以下で他の所得を合わせると所得1805万円超となる見込みの人は年調減税の対象外。月次減税分を年末調整で取り消して徴収。

 

<対象者(扶養親族等)>

・年末時点で判定。他は月次減税と基本的に同じ

・年の途中で死亡した扶養親族分も対象

・月次減税の段階で「源泉徴収に係る申告書」を提出している場合、さらに「年末調整に係る申告書」も提出してもらう必要ある。扶養控除等申告書を再提出している場合は1回でOK

・夫婦で収入があり、夫が所得1805万円超でも扶養を妻につければ扶養家族分の定額減税が受けられる。ただし子が16歳以上で扶養控除が使える場合は「扶養控除の税効果>定額減税4万円」となることもある。

 

4.繰り越し

・年調減税でも使い切れなかった分は令和7年以後の給料に繰り越さない。

・使い切れなった分は源泉徴収票に「控除外額」として表示

・所得税の控除不足額と住民税の控除不足額を合わせて令和7年以降に市役所から給付される予定(1万円未満の端数は切上げ)

※所得税の控除不足は令和6年ではなく令和5年の所得税額で計算。そのため実際の減税額(令和6年)とは誤差が発生する。

 

 今回の内容が一番ややこしいところです。
次回は少しマシな年金や個人事業主について確認します。

(つづく)