空き家は2018年時点で849万戸と20年間で1.5倍に増えており、防犯上の問題や災害時に倒壊の危険性もあるなど大きな社会問題となっています。
税制上は空き家の処分をしやすくするために、「空き家の3000万円控除の特例」が設けられており、売却益を大幅に圧縮できます。
ただ要件が厳しくあまり使われてこなかったことから、税制改正が行われ、2024年から少し使いやすく変わっています。
1.従来の制度の概要
<時期>
・平成28年4月1日~令和5年12月31日までの売却
・相続後3年経過する日の年末までに売却
<用途>
・被相続人が亡くなる直前に一人で住んでいた家屋とその敷地が対象
・相続してから売却までの間に貸したり他の人が住んだりしていない完全な空き家
<手続き>
・家屋が昭和56年5月31日以前建築で耐震工事が行なわれている、または売却前に取り壊している
・要件を満たすことについて市役所の確認書が必要
<控除額>
・譲渡対価が1億円以下、控除額は1人あたり3000万円
2.改正内容
<時期>
・適用期限を令和9年12月31日まで4年延長
<手続き>
・耐震工事や取壊しを売主ではなく買主がしてもOK(期限は譲渡年の翌年2月15日)
<控除額>
・1人あたり3000万円⇒3人以上の共有なら1人あたり2000万円が上限
すぐ活用できるように耐震工事が要件とされていましたが、金銭的及び知識的に売主の負担が大きいので、活用したい買い手が工事をしてもいいように改正されました。
取壊しについてもいっそ更地の方が使いやすいことから要件になっていましたが、これも買い手が取り壊してもいいように改正されています。
ここまでは減税ですが、3人以上の共有の場合は控除額が1000万円減っています。ただ元々譲渡対価1億円という上限もありますし、引っ掛かる例はあまりないかも知れません。
昭和56年5月31日以前建築とか、被相続人が一人で住んでたとか、まだ要件の狭い部分は残っていますが、多少は使いやすくなりました。
空き家問題は大きな社会問題なので今後さらなる緩和も期待したいところです。