未分割相続の確定

posted by 2024.02.8

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 相続税の申告期限は亡くなってから10か月以内ですが、遺産分割協議がまとまらない場合には、未分割の状態で申告書を提出することになります。

 

 未分割の申告では、法定相続分通りに分割したと仮定して相続税額を計算して、仮の相続税を一旦期限内に納めます。
この場合、分割を前提として適用が受けられる小規模宅地等や配偶者の税額軽減などの特例は使うことができないので、相続税額を多めに払うことになります。
これらの特例は申告期限後3年以内に分割ができた場合に使うことができますが、最初の期限内申告の段階で「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておくのが条件です。
この見込書が出てないと後で特例が使えませんので忘れずにつけるようにしましょう。

 

 その後、話し合いや調停で遺産分割が確定した場合には、税額が増えた人は修正申告、税額が減った人は更正の請求による還付申請を行ないます。
更正の請求の期限は分割確定日から4か月以内と期間が短いので早急に対応するようにしましょう。
修正申告については特に期限はありませんが、遅くなると延滞税も発生するので通常は更正の請求と同時に提出します。

 

 ここまでが未分割~分割確定の一般的な流れですが、そもそも更正の請求や修正申告は義務ではありません。
もともと相続税が0円の場合や未分割状態が解消しても相続税額が変動しない場合には、更正の請求や修正申告をする必要はありません。
これは更正の請求はあくまで「できる」規定であるためです(ただし、更正の請求が出すなら修正申告or職権更正もセットです)。

 そうなると申告書上は未分割のままということになりますが、税務署としては税額に影響がなければどっちでもいい、と考えています。
また税額に変動があったとしても申告の手間を省略する観点から、修正申告等をせずに相続人間で変動する相続税を精算しても問題ありません。