固定資産の取得価額と調査費用

posted by 2024.01.25

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 関西電力が税務調査で12億円の申告漏れを指摘されたという記事が出ていました。
指摘事項が固定資産の経理処理という中小企業にとっても身近なテーマだったので内容を確認しておきます。

① 施設設置の調査費用 約4.4億円
② ソフトウェア開発費 約7.5億円

 これらを関電が経費処理していて、固定資産に計上するよう指摘を受けたようです。

 

① 施設設置の調査費用

<固定資産の取得価額に含まれるもの>

・資産の購入代価
・その資産を事業の用に供するために直接要した費用
・引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税などその資産の購入のために要した費用

 では調査費用が「直接要した費用」に含まれるかどうかという点については、法人税基本通達7-3-4に次のように書かれています。

専ら建物、構築物等の建設のために行う地質調査、地盤強化、地盛り、特殊な切土等土地の改良のためのものでない工事に要した費用の額は、当該建物、構築物等の取得価額に算入する。」

 

<調査費用で経費処理できるもの>

・建築に関係なく実施した調査費用
・建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等でその建設計画を変更したことにより不要となったものに係る費用

 

② ソフトウェア開発費

 自社で利用するソフトウェアの開発費は、将来の収益獲得や費用削減にならないことが明らかなもの以外、無形固定資産として資産計上します。

<取得価額に含まれるもの>

・製作に要した原材料費、労務費および経費の額
・事業の用に供するために直接要した費用の額
・既存ソフトや購入したソフトの大幅な仕様変更

 

<取得価額に含めず経費処理できるもの>

・計画変更等による仕損じがあったことで不要になったものに係る費用
・将来の収益獲得等にならないことが明らかな研究開発費(保守費用など)
・製作等のために要した間接費、付随費用等で少額のもの(原価の概ね3%以内)

 なお、減価償却は定額法のみで5年(自社利用)で償却します。

 

 今回の関電の事例の詳細は発表されていないので分かりませんが、取得価額なのか経費なのかという論点は税務調査でもよく出てくるので、内容を精査して正確に処理するようにしましょう。