税制改正大綱10回目は地方税関係を取り上げます。
(1) 外形標準課税逃れへの規制
① 概要
事業税は儲けを基準に課税しますが、赤字だと課税できず地方税収も不安定になることから、規模に応じて事業活動そのものに課税する外形標準課税が平成16年度から導入されています。
外形標準課税の計算は所得割、付加価値割、資本割から構成されていますが、資本割については「資本金1億円以上」という基準であることから外形標準課税逃れで減資する企業が多く、対象法人が導入時の2/3に減っています。
そこで外形標準課税逃れの減資を防ぐために対象法人が見直されます。
② 内容
外形標準課税の対象法人を追加
イ.資本金1億円以上(現行基準)
ロ.前期に外形標準課税対象、当期は資本金1億円以下、資本金+資本剰余金の合計が10億円超
ハ.一定の大法人※の100%子会社、資本金1億円以下、資本金+資本剰余金の合計が2億円超
※一定の大法人…資本金+資本剰余金の合計が50億円超の法人や相互会社等
③ 適用時期
・ロは令和7年4月1日以後に開始する事業年度(施行日前後の調整あり)
・ハは令和8年4月1日以後に開始する事業年度(改正後の2期は2/3、1/3の減額あり)
(2) 固定資産税負担の均衡化
① 概要
令和6年は固定資産税の評価替えの年ですが、地価上昇により負担水準のバラつきが拡大すると予想されることから、現状の負担調整措置が3年延長されます。
② 内容
イ.負担調整措置
・住宅用地:負担水準100%以上でも100%、100%未満なら前年度+当年度の5%
・商業地等:負担水準70%超でも70%、60%以上70%未満で前年度同額、60%未満なら前年度+当年度の5%
ロ.条例減額制度
・市町村が独自に課税標準額を抑える制度
ハ.下落修正措置
・地価が下落した場合に毎年評価額を下落修正できる制度
③ 適用時期
・令和8年度までの3年間継続
税制改正大綱の解説の途中ですが、年内の投稿は今日が最後となります。
明日29日から1月4日まで年末年始休暇とさせていただきます。
来年もよろしくお願い申し上げます。