10月からインボイスが始まってまだ混乱している状況ですが、最近問い合わせが多いのが振込手数料の処理です。
民法上、振込手数料は買い手が負担するのが原則です。
別途契約書等で取り決めがあれば売り手負担にすることも可能ですが、書面による合意が必要です。
買い手が一方的に振込手数料を控除した場合には、下請法上の問題になることもあります。公正取引委員会からも注意喚起の文書も送ってきているようです。
取引き慣行上、従来売り手負担にしていた場合でも、インボイスに伴う手間と下請法上の取扱いを背景に、買い手負担に変えるよう”お願い”をしているケースも散見されます。
振込手数料の処理に関しては次のパターンがあります。
1.売り手が返還インボイスを発行
・請求書の中に値引きの項目も追加
・値引だけのマイナスの請求書を別途作成
2.少額の返還インボイスの交付免除
・税込1万円未満の返還インボイスは不要
・経過措置ではなく、現時点では恒久措置なので期限なし
3.買い手が手数料だけのインボイス発行
・買い手が手数料だけの売上をした形でインボイス発行
4.売り手が立替金精算書を作成
・銀行に直接振込手数料を払ったのは買い手ではなく売り手。売り手が立替金請求書を作って買い手に交付
・銀行から受け取ったインボイス(またはインボイス情報)を立替金精算書に添付
書いていてもどっちがどっちか混乱してきます…。
手数料だけなら1万円未満なので「2」でいけそうなものですが、「4」を依頼されるケースや手数料負担の変更をお願いされるケースもあります。
なお、科目に関しては「売上値引」でも「支払手数料」でも構いません。
ソフトに入力する際に”売上返還等”の消費税コードを入れておけば、消費税計算の際に考慮されます。