ビール値下げ中

posted by 2023.10.18

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 最近ビールのCMが増えています。

 酒税法改正により、この10月からビールの税金が下がっており、メーカーとしても攻勢を掛けているようです。

 

 もともと日本におけるビールの税率は世界的にも高く、350ml缶あたり77円と小売価格の4割近くを占めていました。
そんな中、1994年に麦芽比率を下げたり、副原料の内容や量を変えた「発泡酒」が登場します。

 発泡酒はビールに比べて酒税が約40円安い(当時)ので販売価格を下げられます。
発泡酒は大ヒットし、ビール系飲料の4割を占めるほどになりましたが、2003年に発泡酒の酒税が引き上げられたことで状況が変わります。
それに伴い、今度は麦芽を使わない「第3のビール」が登場。
酒税は28円で発泡酒よりさらに下がりました。
低価格といおいしさから第3のビールの販売が伸び、今やビール系飲料の50%以上を占めるようになりました。

 

 このような状況に対して財務省は「類似する酒類間の税率格差が商品開発や販売数量に影響を与えている状況を改め、酒類間の税負担の公平性を回復する等の観点から、税収中立の下、酒税改正を実地する」と言い出しました。
平たく言うと「どう線引きしてもイタチごっこになるし、味もビールに近いんだから税率は同じでいいんじゃないの」ということです。

 ただ急に変えるとメーカーの販売にも大きく影響することから段階的に一本化されます。

          <2020.10> <2023.10>  <2026.10>

ビール:77円   ⇒70円  ⇒63.35円⇒54.25円

発泡酒:46.99円             ⇒54.25円
 
第 3:28円   ⇒37.8円⇒46.99円⇒54.25円

 

 今回は真ん中の第2段階なので、ビールで約7円下がり、第3で約9円上がります。
量販店では税金分ぐらい安くなっているようですが、全てのビールが安くなるわけではありません。
原材料費や物流費の高騰もあることから、飲食店向けの卸価格はむしろ上がっているようです。

 

 税金が一本化されると酒税による区分という考え方がなくなることから、機能性、クラフト、プレミアム、低アルコールなど今以上に個性で消費者にアピールする時代がやってきそうです。