旅費規程と日当

posted by 2024.04.30

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 国家公務員の出張費に関して定める旅費法が41年ぶり改正される見通しです。

 これまでは定額が支給されていましたが、円安の影響もあり、大都市では支給額と実際の支払額との差が拡がって自己負担も発生していたようです。
今後は上限を定めた上で実費を支給するようになります。
国家公務員の旅費規程は地方自治体や一般企業の旅費規程の目安になっている部分もあるため、影響もありそうです。

 

 一般企業の旅費規程は役職ごとに上限を決めて、実費精算する形式が既に多くなっています。
ただニューヨークなど大都市での価格高騰や円安の影響を考えると金額の見直しは必要かも知れません。
海外出張だけでなく国内出張においても、インバウンドの影響でホテル代が高騰しており、旅費規程による支給額と実際の支払額との差が発生し、実情に合わなくなってきている部分もあります。

 

 旅費規程実費精算が基本ですが、全てを実費精算するのは事務的に煩雑です。
そこで細々した精算を省略するために”日当”という形で支給するケースもあります。
内容的には、出張中の近距離のタクシー代、時間調整のための喫茶代、宿泊した場合の朝食代などが考えられます。
日当については役職等に応じて、「目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内」であれば所得税が課税されません。
ちょっとまどろっこしい言い方ですが、端的に言うと「実費とかけ離れていない常識的な金額」ということになります。
上記の範囲内であれば、法人税では『旅費交通費』として経費になり、消費税でも『課税仕入れ』(国内分)として控除できます。

 

 元々は事務手間を軽減するための”日当”ですが、領収書が要らない点に着目して、中小企業では節税手段の1つとしても使われています。
正規料金を積み上げるなどある程度余裕を持たせた設定にすれば、実費より経費を多くできるためです。

 ただし、あまりに高過ぎたり、内容に実費精算と重複する部分があったりすると単なる”給与”とみなされる恐れもあるため、注意が必要です。
実務的には実費相当額や税務調査での相場感などを考慮して、適正額を決めていくことになります。