インボイス登録をして課税事業者になる場合の軽減措置として「2割特例」があります。
消費税の計算方法には「原則課税」と「簡易課税」とがありますが、第3の方法として期間限定で使えるのが「2割特例」です。
① 使えるケース
・インボイス登録により課税事業者になった方(=インボイス制度がなければ免税だった方)
② 使えないケース
・基準期間における課税売上高が1千万円超
・特定期間(開業初年度の前半6か月)の課税売上高が1千万円超の場合の2期目
・資本金1千万円以上の新設法人
・課税期間を短縮している 等
③ 計算方法
・売上消費税から8割を控除
④ 期間
・令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間
・個人事業者の場合、令和5年の3か月と令和6~8年
・法人の場合、令和5年10月決算~令和9年8月決算
・仕入側では8割控除が3年、5割控除が3年で計6年の経過措置がありますが、売上側では8割控除の3年のみです。
⑤ 手続き
・事前届出は不要で申告書に付記するのみ
なお、卸売業の場合は2割特例を使わずに9割控除できる「簡易課税」を使った方が有利になります。
簡易課税については、本来は適用を受けようとする年の前年末までに選択届出を出す必要がありますが、インボイス登録をした場合は特例により、”あと出し”も可能です。
例えば9月決算の法人が令和5年10月1日から登録した場合、令和6年9月30日までに簡易課税制度選択届出書を提出すれば、その年から簡易課税を使えます。
個人事業者で令和5年10月1日から登録した場合、課税期間が12月で終わるので令和5年12月31日までに提出が必要です。
出せる期間が3か月しかないので気をつけて下さい。
簡易課税は2割特例と違って以前からある制度なので、基準期間(2年前)の課税売上高が5000万円を超えない限りずっと使えます。
2割特例の3年が終わった時には、原則課税と簡易課税を比較して有利な方を選んでいくことになります。