立体商標と税務処理

posted by 2023.08.3

nigaoe_ookuma_shigenobu

 立体商標の登録が増えているようです。

 2022年は202件登録されており、過去10年で最多で、出願件数に対する登録の割合も6割超と過去10年で最も高くなっています。

 

 商標とは「事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するネーミングやマーク(識別標識)」のことを言います。
商標権は、著作権のように創作時に自然に発生する権利ではなく、特許庁へ出願して登録することによって効力を発揮します。

 

 商標登録のメリットとしては次のような点があります。

① 自分の商標として独占的に使える

 商標権は ”早い者勝ち”の権利なので、他人が先に同じ商標を登録した場合、自由に使えなくなったり、商標権を侵害していると訴えられたりすることがあります。

② 商標を勝手に模倣されたり、使われたりするのを防げる

 自社の商標を勝手に使われたり、質の悪いコピーが出回ったりすると、売上やブランドイメージの低下につながります。
商標登録をしていないと、勝手に使用されても商標の使用の差止めや損害賠償の請求ができません。

 

 商標は元々 ”平面”しかありませんでしたが、平成8年改正により ”立体”も認められるようになりました。
代表的なものとしては、カーネルサンダースや大隈重信像、コカ・コーラやヤクルトの容器、ファミマや出光の店舗などがあり、最近では6月にはカシオのGショックが時計の形状としては初めて登録されました。

 立体商標の登録要件としては、識別能力があることや機能的に不可欠な形状でないことなどがありますが、詳しくは弁理士さんのサイト等で確認していただくとして、ここでは税務的な取扱いを確認しておきます。

・科目:商標権(無形固定資産)

・金額:10万円未満は損金。10万円以上20万円未満は一括償却資産、20万円以上30万円未満は少額減価償却資産としても処理可能

・耐用年数:定額法10年(登録日から償却)

・取得価額:デザイン料、他社からの購入費、商標調査料

・経費OK:出願時、登録時、更新時の手数料や印紙

 

 中小企業では商標への意識がそれほど高くないため、長年登録せずに商売しているケースも多いです。
ある程度売れてきて海外進出を考えた時に「いつの間にか海外で勝手に登録されていた」と気付くようなケースもあります。

 立体商標はややハードルが高いですが、平面商標であれば8割前後は登録できているので、独自性のある商品やサービスを扱っている場合には、ブランディングの観点から登録をお薦めします。