百貨店と免税販売

posted by 2023.08.1

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 百貨店の売上がコロナ前の2019年を超え、中には過去最高を記録している店舗もあるようです。

 

 売上を牽引しているのがインバウンド(訪日外国人)の回復です。
韓国、香港、台湾に加えASEAN諸国からの訪日客が多いようで、円安も相まって高額品がよく売れています。
現状では中国人客は以前ほど多くありませんが、訪日団体旅行の規制が緩和されればさらに伸びることが想定されています。

 

 インバウンドの回復と共に増えているのが不正な免税販売です。
大丸松坂屋4億円、阪急阪神2億円、三越伊勢丹7億円と巨額の追徴課税がニュースになっており、どの百貨店でも横行している模様です。

 消費税は日本国内で消費するモノやサービスに対して課税されますが、外国人観光客がお土産として買う場合は日本で消費しないため、消費税は免税となります。

 

 免税となるためには次の要件があります。

・購入者 :入国後6か月未満の外国人旅行者等
・一般物品:1日の同一店舗での販売合計5000円以上
・消耗品 :1日の同一店舗での販売合計5000円以上50万円未満
・購入目的:通常生活の用に供するものを国内で消費せずお土産等として持って出国(転売や事業目的でない)

 

 違反内容としては、

・入国後6か月以上経っている。
・本人確認が不十分(パスポートが本人でない)。
・購入者誓約書など必要書類が保管されていない。
・転売目的で49万円での購入を繰り返している。

といった事例が相次いでいるようです。

 

 百貨店には転売防止システムが導入されていて、不自然な取引きには警告が出るものの最終的な判断は現場に任せられるので完全には防げないようです。

 お客様を疑うようなチェックはしにくいし、忙しくて厳密なチェックはしていられない、という声もあるようですが、売上を最大化したい現場としてはチェックが甘くなる面もあるのかも知れません。

 外国では街中の店舗で買う際には一旦消費税を払って空港で還付を受けるのが一般的です。
この方法であれば最初に消費税を払っているので、不適切な免税販売は起きにくくなっています。

 

 消費税は今や税収の3割を占める基幹税であるだけに、”逃げ得”を許さない仕組み作りが必要になってきています。