2022年度のふるさと納税

posted by 2023.08.2

chisanchisyou_tokusanhin

 総務省から2022年度のふるさと納税の実績が公表されていました。

 

 寄付額は前年に比べて16%増の9654億円で、3年連続で過去最高を更新しています。
確定申告をしていても、以前からしている人はやめる理由もないので限度を気にしながらずっと続けてますし、周りでみんなやってるからと新たに始める人もおられます。

 

 市町村別の順位は、①都城市(宮崎)196億円、②紋別市(北海道)194億円、③根室市(北海道)176億円、④白糠町(北海道)148億円、⑤泉佐野市(大阪)137億円と常連が並んでいます。

都道府県別では、①北海道 1452億円、②福岡県 550億円、③宮崎県 466億円、④鹿児島県 424億円、⑤佐賀県 416億円となっており、海産物に強い北海道が他を圧倒しています。

 

 ふるさと納税は今や”限度額のある通信販売”のような雰囲気がありますが、元々は住民税を支払う自治体を自分で選んで、たまたま謝礼が送られてくる、という制度です。

 そのため、平均所得の高い大都市圏で寄附する人が多いため流出額が多く、返礼品のメニューが豊富な地方で受入額が多い傾向にあります。
大都市圏では従来「税の受益と負担の原則に反する」という考え方から、ふるさと納税にあまり積極的ではありませんでしたが、流出額が大きいことから返礼品の拡充に動くところも増えています。
京都市、名古屋市、神戸市などでは地域を特性を活かした返礼品で寄附額を大幅に増やしています。

 

 受入額の多い地方もすごく儲かっているかというとそういうわけではなく、経費も5割弱(全体で4517億円)かかっています。
そのうち6割は返礼品の調達費用なので地元に還元されますが、4割は送料やふるさと納税サイトの手数料なので地元に還元される部分は少なくなっています。

 なお流出額に関しては地方交付税で75%が補填されるので丸々税収が消えるわけでありません。
ただし、そもそも地方交付税の不交付団体(東京都、川崎市、豊田市、芦屋市など73団体)であれば、この補填もありません。

 

 個人単位で見ると年間2000円の負担で、寄附額の3割相当の食品などがもらえるメリットしかない制度ですが、国全体で見ると、果たして税収の移転方法として効率的に運用されているのかどうかという問題は残ります。