壁はいつ超える?

posted by 2023.07.5

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 厚生労働相が会見で「”130万円の壁”について、一時的に収入が超過しても対象から外さないよう周知する」方針を示したことがニュースになっていました。

 

 これってどういう意味なんでしょうか?
お客様からも「扶養外れそうなんですがどうしたらいいですか?」と質問をいただくことも多いので、扶養を外れる基準とタイミングについて確認しておきます。

 まず前提として社会保険の扶養と所得税の扶養では基準も判断するタイミングも異なります。
分かりやすくするための夫がサラリーマン、妻がパートという例で説明します。

 

1.基準

① 社会保険

・妻の見込み年収が130万円未満かつ夫の年間収入の1/2未満

 

② 所得税

・妻の年収が 103万円以下(合計所得金額が48万円以下)
  かつ
・夫の年収が1195万円以下(合計所得金額が1000万円以下)

 103万円を超えると配偶者控除を使えなくなりますが、配偶者特別控除があるため、150万円までは配偶者控除と同額の38万円を控除できます。
150万円を超えると201万円に向かって配偶者特別控除は段々減っていきます。
つまり狭い意味での扶養の基準は「103万円」ですが広い意味の扶養の基準は「201万円」ということになります。

 

2.判断のタイミング

① 社会保険

 見込みなので主観的に判断することになります。
月11万円以上が何か月が続くと年間ベースで132万円となり扶養の範囲を超えます。
ただし、たまたま1か月だけ11万円になったとしても年間で130万円未満に納まると予想される場合は扶養からは抜けなくていいことになります。
元々こういう規定なのですが、わざわざ厚生労働相が周知しているのは会社によっては厳格に判断しているところもあるので確認のために言っているのかも知れません。

 手続きとしては扶養から外れることが見込まれた日から5日以内に夫の勤務先に連絡して「被扶養者(異動)届」を年金事務所に提出することになります。
あくまで見込まれる日を基準に連絡するのでそれほど厳格な期限ではありません。

 

② 所得税

 年末の時点の結果で判断します。
実務上は年末より少し前に年末調整の手続きは始まっているため、11月頃の実績から判断することになります。
扶養になると思って夫の会社に報告したのに超えてしまった場合は、1月末までに再年調してもらうか、夫の確定申告をして扶養から外すことになります。

 

 壁がいくつもある上に判断のタイミングも違ってややこしいですが、早とちりしないように気をつけましょう。