入社祝い金の税務

posted by 2023.06.30

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 「転職決まればお祝い金は違反行為」というニュースが出ていたので、何が違反なのかと思ったら、悪質な紹介業者がお祝い金をちらつかせて転職を促す行為が横行している、という内容でした。

 お祝い金で転職を促すことは職業安定法に基づく指針で禁止されているので論外ですが、入社してくれた社員に会社がお祝い金を出すケースをたまに見ます。
これは法律上何ら問題ありませんが、税務上はどう扱われるのでしょうか

 

 ひとことで「入社祝い金」といってもいろんなパターンがあるので内容によって取扱いは変わります。

 

① 金一封

<内容>

 入社前または入社直後にお祝い金として数万円~20万円程度支給されるケース。
特に用途の限定はなく”金一封”のようなものです。

<税務>

 まだ勤務する前なので給与所得にはなりませんが、雇用契約を前提とした契約金として扱われ、雑所得に該当します。
100万円以下の部分は10.21%、100万円超の部分は20.42%の源泉徴収が必要です。
受け取った社員の側では金額が20万円を超える場合、副業として申告不要な上限を超えるため確定申告が必要です。

 

② 支度金

<内容>

 ①の金一封のうち、引越しが伴う場合など新生活の準備のためという名目で入社時に10~20万円程度支給されるケース。

<税務>

 契約金と明確に区分されており、転居費用として相当(実費に近い水準)である場合はもらった従業員は非課税になります。
後日の調査時に説明できるよう実費がどれぐらいかかっているかという資料も残しておきましょう。
なお、実費相当であるため、払った会社側では消費税を控除することができます

 

③ 募集と定着

<内容>

 工場での派遣社員や期間従業員の求人などで使われることがあります。
入社時の臨時報酬で金額は1~10万円程度、一定期間(3~6か月)の継続勤務や遅刻欠勤等が少ないことを条件にするケースが多いようです。

<税務>

 一定期間の勤務に対応するため、通常どおり給料や賞与として課税されます。

 

 人手不足で採用が難しい昨今、祝い金を出すケースも増えてきそうですが、内容に応じて処理して有効活用するようにしましょう。