毎年この時期になると国税庁からマルサ(査察)の調査状況が発表されます。
いつもの年と違うのは今回はパンフレットが同時に公開された点です。
いかにもチンピラ風のお兄さんが表紙になっていて、調査手法を示しながら脱税は見つかるんだということが謳われています。
一審判決での有罪率が100%、懲役の平均は13.6か月、罰金は平均で1200万円であることも書かれています。
脱税するような人がパンフレット見るかなと思わなくもないですが、脱税の手口なんかも載っているので興味のある方はご覧下さい。
令和4年度はコロナの影響があった令和2年、3年に比べて着手件数が145件へ増加し、コロナ前に近い水準に戻っています。
それでいて1件あたりの脱税額や告発件数は大幅に増加しており、コロナ禍で行っていた中身の濃い調査が継続されていることがうかがえます。
特に消費税の不正還付、無申告、国際事案は従来からの継続で重点項目として調査が強化されています。
<消費税の不正還付>
・化粧品の架空仕入れと外国人観光客への架空売上げを計上して、仕入れに係る消費税を不正に還付
・パワーストーンの架空仕入れで還付申告を行うものの還付前に未遂事案として告発
<無申告>
・相続財産である現金を複数の場所に隠匿して無申告
・競艇予想をネット上で販売する事業者が所得税無申告
<国際事案>
・外国法人に架空の手数料を支払い、暗号資産の譲渡も外国法人で行ったように仮装
<その他時流に即した事案>
・トレーディングカード販売事業者が領収書を偽造して架空仕入れを計上し、法人税を過少申告
・SNS上で多数のサラリーマンを勧誘し、不正な所得税還付を指南。手口は架空の事業所得の赤字を作り出し、給与所得と損益通算するというもの
・大手繊維会社の従業員が親族の会社を通じて下請業者に架空の請求書を送り、支払先を借名口座にして所得を隠匿
手口としては昔からあるものが多いですが、ネットやSNSを活用している点は昔と異なると言えるかも知れません。
隠し場所は昔と変わらず、床の下、貸金庫、クローゼットの中などが多いようです。
改めて言うまでもありませんが、脱税は見つかるし、見つかったら有罪率100%ですので魔が差さないように気をつけましょう。