印紙税の調査 ②

posted by 2023.04.27

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 前回の続きで印紙税の調査について見ていきます。

 

<調査の流れ>

 1号、2号、7号など契約書に関しては、契約書綴りなどを見ながら付箋をつけて片っ端からコピーをしていきます。
印紙税は文書の一言一句が課税と非課税の分かれ目となるため複雑で、調査官といえどもその場で判断できないためです。
持ち帰って判断した上で後日連絡があります。

 17号の領収書等に関してはまず業務フローのヒアリングがあります。
その上で印紙税を貼るべき領収書がどれぐらいあるかを推定していきます。
5万円以上で200円の印紙が必要であるため、売上のデータから5万円以上のものをピックアップします。

 その推定枚数と実際の印紙購入額とを比べて明らかに購入額が少なければ貼り漏れがある可能性が高くなります。
きっちりした会社であれば印紙の受け払い帳や在庫表があるので、これらがあれば印紙の消費量をより正確に知ることができます。

 なお領収書に関しては、税務署は事前に発行されたものをチェックしてきています。
例えば飲食店であれば接待に使ったお客さんが領収書をもらって会社に提出しているはずで、そのお客さんの会社の税務調査の際に印紙税が貼っていないものが出てくれば、「この領収書を発行した飲食店は印紙をちゃんと貼ってないのかも知れない」とマークしています。

 

<罰金>

 印紙が貼っていなければ3倍の額の過怠税と呼ばれる罰金がかかります。
ただし実務上は自主的に修正することを条件に通常は1.1倍で済みます。
0.1増えるだけ、ではなくて罰金であるため、1.1全てが経費にならず法人税の負担も発生します。

 印紙税の修正申告は「印紙税不納付事実申出書」という書類によって行います。
この書類は”申出書”という体になっているものの、実際は税務署が原稿まで作って送ってくれるので、内容を確認してそのまま提出します。

 

<調査後の対応>

① マニュアルの改善と徹底

 契約書については発生の都度、税務署や税理士に確認するようにします。
領収書については現場マニュアルの改善と徹底で漏れを防止します。

 

② 書式表示による納付

 税務署の承認を受けることにより印紙を貼らずに本社で金銭一括納付することができます。
1か月単位で売上データを集計して翌月末までに申告納付します。
この場合、領収書の端っこに「印紙税申告納付につき税務署承認済」というハンコを印字します。

 

③ 電子化して紙で発行しない

 紙で文書さえ作らなければ印紙税は発生しません。
契約書については様々な会社から電子契約書のサービスが提供されています。特に不動産関係など印紙税の金額が大きい業界では積極的に利用されています。
領収書に関してもキャッシュレス決済をした場合に領収書を出さないことも増えています。

 

 印紙税は1枚1枚はそれほどの金額ではありませんが、積もり積もれば大きな金額になります。
税務調査で多額の漏れを指摘されることのないよう普段から気をつけるようにしましょう。