通勤手当の取扱い

posted by 2023.04.11

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 いろんなものが値上がりしていますが、鉄道運賃も例に漏れず、この3月4月から値上がりしています。

 関西では10円程度の目立たない値上げが多い中、近鉄電車の平均17%値上げというのが突出しています。
値上げの理由としてはバリアフリー対応という名目が多いですが、在宅勤務の増加などにより利用者が減っていることも背景にありそうです。
運賃の値上げに伴って4月以降に買う定期代も上がるので給与計算の際には気をつけましょう。

 給与の一部としてもらうことの多い通勤手当ですが、取扱いについて改めて確認しておきます。

 

<位置付け>

 ”手当”と名前がついている通り、通勤にかかる費用を補助するために会社が支払う給与の一種です。
法律上支給する義務はありませんが、就業規則や給与規程に定めた場合は義務になります。
給与である以上現金支給が原則ですが、労働協約がある場合は現物(定期券)で支給することもできます。

 規定上全額支給としている会社が多いですが、任意の給料であるため、柔軟な取扱いが可能です。
会社によっては「月額3万円以下」といった上限を設定していたり、「片道2km未満の場合は支給しない」と定めているようなケースもあります。

 

<社会保険料>

 社会保険の計算上は給与の一部として取り扱われ、標準報酬月額を算定する際には通勤手当も含めます。
算定基礎届は毎年4~6月の給料を元にするため、その期間に支払った通勤手当を含めて記載します。

 労災保険や雇用保険の計算上も給与の一部として取り扱われます。
申告の際には通勤手当を含めて記載し、毎月の給与計算で雇用保険を計算する際にも通勤手当を含めます。

 

<所得税>

 最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法に従って支給していれば非課税となります。
ただし上限は15万円で、超える部分は給与として課税されます。

 車、バイク、自転車の場合は距離に応じて非課税限度額が決まっています。

・2km未満       :非課税なし
・2km以上10km未満 :4200円
・10km以上15km未満:7100円
・15km以上25km未満:12900円
・25km以上35km未満:18700円
・35km以上45km未満:24400円
・45km以上55km未満:28000円
・55km以上      :31600円

 なお、徒歩の場合に通勤手当を支給しても非課税とはなりません。

 また、駐車場代や駐輪場代を支給することがありますが、これは非課税の対象に含まれないため、給与として課税されます。

 

<消費税>

 手当と名がついていますが、実費相当を支給するという考え方から課税仕入れとして取り扱われます。