美容系のインフルエンサー9人が東京国税局の税務調査を受け、3億円の申告漏れを指摘されたことがニュースになっていました。
追徴税額は6年で8500万円にも上ったようです。
詳細は報道されていませんが、興味深い事例なのでQ&Aで掘り下げてみます。
Q1.確定申告は必要?
A1.本業はもちろん、副業でも年間利益が20万円超なら必要
収入ではなく利益で年間20万円を超えると確定申告が必要で、本業であれば「事業所得」、副業であれば通常「雑所得」として申告します。
雑所得は損益通算できないため、マイナスが出ても節税にはなりません。
Q2.源泉徴収は必要?
A2.原則的には不要
支払う際の10.21%の源泉徴収は、所得税法204条に限定列挙された項目に該当するかどうかで決まります。
インフルエンサーは商品やサービスの提供を受けて宣伝し、その対価を受け取りますが、源泉徴収の要件の中にピッタリあてはまるものはありません。
したがって源泉徴収は不要ということになります。
源泉徴収されるとすれば次のような報酬ですが、あくまで紹介広告がメインなので課税されるケースは限定的です。
・モデルとしての報酬 (例:着た写真をインスタにアップ)
・デザイナーとしての報酬(例:コラボデザイン)、
・芸能人としての報酬 (例:テレビ番組出演)
Q3.無償提供も課税?
A3.原則的には課税、ただし影響しないことも。
商品やサービスを無償提供された場合はその時価相当額の利益を受けているため所得税が課税されます。
ただし実際に業務の中で使うものであれば(消耗品費)(雑収入)といった仕訳になり経費と相殺されるため、利益は発生しないことになります。
そもそも無償提供される価値が年間20万円以下であれば、経費性を判定するまでもなく確定申告は不要です。
Q4.インフルエンサーの収入はバレる?
A4.バレると思っておきましょう
源泉徴収が必要な報酬は、払った側の企業から支払調書が提出されるので税務署もすぐ把握できます。
では源泉徴収が不要なインフルエンサーでなぜ今回バレたのか?
・ネット関連の所得は漏れやすいので税務署の重点調査項目になっている。
・税務署もSNSをマメにチェックしている。
・企業への税務調査の際に個人への支払いが出てくるとメモを取り情報収集している。
といったあたりがバレる要因として考えられます。
この時期の追徴課税の報道は牽制の意味合いもありそうです。
少なくともお金での報酬の受け取りがあって、年間利益が20万円を超える方は確定申告するようにしましょう。