3年以内の小規模宅地等

posted by 2022.06.15

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 前回の続きで小規模宅地等の特例に関する改正について見ていきます。

 

 小規模宅地等の特例とは亡くなった方の事業や居住に使われていた土地を相続した場合に一定面積まで評価が減額(50%・80%)される制度です。

 制度の趣旨としては引き継いだ人が事業や居住を続けやすいように税負担を軽くするというものですが、マンション投資やコインランドリーなど特例狙いで相続直前に事業を始めるケースも発生していました。
そこで相続の3年以内に開始した事業については小規模宅地等の特例が使えないように改正されました。

 

<貸付事業>(上限200㎡まで50%減)

① 規制対象

・相続の開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等は適用なし

・3年超貸付けられていた宅地等はセーフ

・3年超の期間、事業的規模(貸家5棟、貸室10室、駐車場50台以上)で貸付事業を行なっていて、その一環で3年以内に貸し付けた宅地等はセーフ

② 適用時期

・平成30年4月1日以後の相続

③ 経過措置

・改正タイミングを考慮して平成30年3月31日までに貸付けた宅地等は3年以内であってもセーフ。

・令和3年3月31日で経過措置終了(改正から3年経過したため、原則通り3年で判定)

 

<特定事業用>(上限400㎡まで80%減)

① 規制対象

・相続の開始前3年以内に新たに事業の用に供された宅地等は適用なし

・3年超事業に使われていた宅地等はセーフ

・「減価償却資産の評価額/宅地等の評価額≧15%」の規模があれば取ってつけたような事業ではないので3年以内でもセーフ

② 適用時期

・平成31年4月1日以後の相続

③ 経過措置

・改正タイミングを考慮して平成31年3月31日までに事業に使われた宅地等は3年以内であってもセーフ。

・令和4年3月31日で経過措置終了(改正から3年経過したため、原則通り3年で判定)

 

 貸付用と事業用で改正時期は1年ずれていますが改正の趣旨として同じです。
3年以内であっても十分な規模で継続的に事業を行なっていれば小規模宅地等の特例は適用できます。