退職金の手続き

posted by 2022.04.27

party_kansougeikai_business_oldman

 前回退職一時金の優遇税制について解説して、その続きで優遇税制の一部制限について書く予定でしたが、先に退職金の手続き面を見ておきます。

 

1.会社

① 源泉徴収

・前回解説した所得税と住民税を退職金支払い際に天引きします。

天引きした所得税は翌月10日までに給与の源泉所得税と共に税務署へ納付します。会社が納期の特例で半年に1回の納付になっていれば退職金の源泉所得税も半年に1回(7月10日と1月20日)になります。

天引きした住民税も同様に翌月10日までに市役所(1月1日現在の住所地)へ納付します。会社が特別徴収の場合は毎月使っている特別徴収の納付書に書き足して合計欄を修正して使います。普通徴収の場合は納付書を市役所から取り寄せます。

 

② 中退共に加入している場合

・まず会社の退職給与規程に基づいて退職金の総額を計算します

中退共分は会社を通さずに中退共から直接従業員の口座に振り込まれます(会社には金額の通知あり)

・退職金の総額から中退共の支払額を差し引いた残りを会社から振り込みます(源泉徴収税額は総額を元に計算)

 

③ 死亡退職の場合

・死亡退職の場合は所得税ではなく、相続税の対象なので所得税や住民税を天引きしません。

 

2.従業員

① 退職給与の受給に関する申告書

・退職する従業員は退職給与の受給に関する申告書を会社へ提出します(用紙は会社が用意)

・申告書には勤続期間や他社で退職金をもらっていないかなどを記入して、会社はその情報を元に退職金の源泉徴収税額を計算します。

申告書の提出がない場合、正確な源泉徴収税額が計算できないので総額の20%が天引きされます(退職所得控除がないので高額)。多く源泉徴収された場合は確定申告をすれば還付を受けられます。

・申告書は税務著や市役所に提出する必要はなく会社に保管します税務調査では内容を確認されることがあります。

 

② 確定申告

・従業員は退職金の源泉徴収票を受け取りますが、これで完結しているので確定申告の必要はありません。

 

 次回は優遇税制の制限について見ていきます。