適正な借入金とは?②

posted by 2022.04.12

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 前回の続きで”どこまで借りていいのか?”「債務償還年数」の側面から見ていきます。

 

 日経新聞の記事によると2021年末時点で企業が抱える過剰債務は76兆円にも上るようです。
コロナ禍による急激な業績悪化で資金繰りが悪化したため、政府としても緊急融資やゼロゼロ融資(実質無利子・無担保)で資金繰りの支援を行ってきました。
その結果、借入金残高が増加しており、特にコロナの影響が大きい飲食業で2年前に比べ1.3倍、宿泊業で1.6倍となっています。

 過剰債務かどうかは企業の債務は時間とともに最適な債務規模に近づくように調整されるという「部分調整モデル」で計算されており、返済可能額と実際債務の差額を”過剰”としています。

 

 貸す側の銀行でも同じような考え方を取っており、返済可能額から債務償還年数を計算して融資判断の材料としています。

・債務償還年数=借入金残高 ÷(税引後利益+減価償却費)

 他にも運転資金などを使う計算方法はありますが、基本的な算式はこれです。
借入金残高をキャッシュフローで割ることで、今の利益なら何年で借金を完済できるかを計算しています。
減価償却費を足しているのは経費にしているもののキャッシュアウトがないため、返済に使えるという考え方です。
借入金残高は有利子負債を前提としており、役員から借りている無利子負債などは含めずに考えます。

 

 債務償還年数の目安としては5年なら返済能力に余裕があるのでまだ貸せる状態、10年ぐらいが貸し出しの限度というのが一般的な見方です。

 

 借入金が増えていて気になる、あるいはあとどれぐらい借りられるかの目安を知りたいといった場合には自社の数値で一度計算してみてはどうでしょうか。