葬式費用と相続税

posted by 2022.04.13

osoushiki_obousan

 コロナ禍は社会のあり方を大きく変えましたが、結婚式やお葬式など冠婚葬祭への影響も大きくなっています。

 お葬式に関しては、家族とごく親しい人だけで見送る【家族葬】が4割以上を占めるようになり、一般葬の約5割に近い割合になってきています。
他にもお通夜のない【一日葬】や式すらない【直葬】といった形態も増えています。

 費用面では1件あたり平均が121.5万円(2021年経済産業省統計)で前年より4%減っています。
形態別の平均は【一般葬】が約240万円、【家族葬】が約137万円、【直葬】が約80万円と簡素化に伴って費用も減少しています。

 

 税金面では葬式費用は相続税の計算の際に控除できます。
相続税は亡くなった瞬間にある財産と債務を基準に課税するので、亡くなってから行われるお葬式の費用は本来の考え方では控除できませんが、慣習として定着しており、必要不可欠であることから控除することができます。

 

 ただし何でもOKというわけではなく、控除できるものとできないものがあります。

<控除OK>

・お通夜と告別式の費用
・告別式と同日に行われる初七日の費用
・参列者の食事代や菓子代(コンビニやスーパーで買ったものもOK)
・お寺等への読経料や戒名料(領収書なしでメモでOK)
・謝礼(手伝ってもらった方や運転手への支払い)
・死亡診断書の取得費
・遺体運搬費用

<控除不可>

・四十九日など告別式後に行なわれる法要費用
・香典返戻費用(香典もらう方も非課税のため)
お墓や仏壇の購入費用(生前に買えば財産減るので節税になります)
・解剖費用(医学上や裁判上の理由)

 

 中身の問題とは別で実際に負担しても葬式費用の控除ができない人もいます。

・制限納税義務者(海外に居住等)
・相続を放棄した人
・特定受遺者(相続人以外で遺言により特定の財産のみをもらった人)

 普通に日本に住んでいる無制限納税義務者で、相続人または包括受遺者(遺言により財産債務全体を割合で受け取る人)であれば葬式費用は控除できます。

 

 葬式費用は幅広く控除できますので領収書をしっかり残すのは当然として、領収書がないものも含めてノートなどにまとめておきましょう。