2020年度で約3489万件、金額にして約6725億円が寄付されたふるさと納税。
件数や金額は2014年以降ほぼ右肩上がりに推移しており、すっかり定着した感があります。
年末が近づくと「今年はいくらできますか?」とご質問をいただくことも多いのですが、限度額はどう計算するのでしょうか。
<算式>
限度額=所得税の所得控除+住民税の税額控除(基本)+住民税の税額控除(特例)
① 所得税の所得控除
・(寄付額-2000円)× 所得税率(5~45%)
2000円は足切りのようなもので、ふるさと納税に限らず寄付金控除共通の金額です。
2000円は寄付ごとに引くのでなく、その年の寄付合計から1回だけ引くので多く寄付した場合、影響は薄くなります。
② 住民税の税額控除(基本)
・(寄付額-2000円)× 住民税率10%
③ 住民税の税額控除(特例)
次のいずれか少ない金額
・(寄付額-2000円)×(100%-②10%-①所得税率)
・ 住民税所得割 × 20%
最初の式で100%から①と②の率を引いた差額を控除しているので2000円を除いて100%控除していることになります。
例えば年収500万円なら所得税率は10%なので(100%-10%-10%)で80%を住民税から税額控除します。
ここまでの計算だといくらでも控除できることになるので、最後の「住民税所得割 × 20%」で上限が発生します。年収500万円の例では限度額は約6万円となります。
ここまで説明しておいて何ですが、はっきり言って計算式がややこしいので普通はふるさと納税サイトの限度額シミュレーションを使います。
我々プロも手計算することはありますが、ふるさと納税サイトでも検算します。
ふるさと納税サイトで計算する際の注意点が2つ。
・収入ではなく所得
ふるさと納税サイトの限度額シミュレーションはサラリーマンの額面収入を前提に作られているものが多いので、事業所得や不動産所得がある方は所得をベースに計算するよう工夫して下さい(例:事業所得を出してから逆算して給与所得に置き換えなど)。
計算に不安のある方は税理士に確認しましょう。
・譲渡所得は所得控除の対象外
株や不動産の譲渡所得がある場合は税金の割には限度額が小さくなります。
<例>
・給料:500万円(所得税約13万円、住民税約24万円)
・土地の譲渡益:800万円
・譲渡所得税 :120万円(15%、復興所得税は省略)
・譲渡住民税 : 40万円(5%)
① 所得税率 :10%
② 住民税基本:10%
③ 住民税特例:80%と(所得割 × 20%)の少ない方
③は(24万円+40万円)× 20%=12.8万円が限度となります。
50.2万円寄付したとすると、①5万円、②5万円、③12.8万円で合計22.8万円となり、限度オーバーです。
なぜこんなことが起こるかと言うと簡単に言うとふるさと納税がサラリーマンを前提としているためです。
もう少し正確に言うと、所得税の寄付金控除が譲渡所得などの分離課税を含まない総所得金額から先に引くことと、所得税と住民税では通常所得税の方が税率が高いことが要因です。
(図:総務省HPより)