離婚と税金 ②

posted by 2021.09.29

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 前回の続きで離婚と税金の関わりについて見ていきます。

 

3.養育費

 扶養義務を果たすために支払われる養育費については所得税も贈与税も非課税とされています。
ただし、通常必要と認められる金額を超えるものについては贈与税がかかることがあります。
いくらが”通常”かは人によりますが、その都度使われてなくなるようなものは”通常”の範囲内となります。
逆に養育費を貯めて不動産や株式を買ったり、一括で受け取っているような場合はその都度使っているとは言えないので贈与税の対象となります。

 

4.慰謝料

 慰謝料は精神的苦痛に対する損害賠償金であるため、税金の対象とはなりません。

 

5.財産分与

 財産分与は夫婦で築いた財産を離婚に際して精算しているだけなので所得税も贈与税もかかりません。
ただしいろんな事情を考慮しても財産分与額が多すぎる場合や偽装離婚で相続税を免れるような行為については贈与税の対象となります。

 また財産を手放す側に所得税がかかることがあります。
不動産を財産分与した場合には売却して現金化してから渡したと考えて、売却益が出ていれば譲渡所得税が課税されます。
財産がなくなるわ税金は取られるわで踏んだり蹴ったりですが、税務署としては名義が変わっている以上このタイミングで含み益に課税しようと考えます。

ただし離婚でよくある自宅の財産分与の場合は「居住用の3000万円控除」の適用があります。
身内への売却では適用がないので離婚して他人になってからのタイミングで自宅を財産分与する必要があります。

 

 離婚の際は税金がかからないものがほとんどですが、現預金以外に不動産や株式など譲渡所得の対象となる財産を分与する場合は注意が必要です。