滞納税金の増加

posted by 2021.08.6

money_kinketsu_man

 国の決算は3月なので、2020年度の数字が最近いろいろと発表されています。

一般会計の税収は法人税と消費税が伸びて60.8兆円で過去最高、ふるさと納税は巣ごもり需要で4割増えて6724億円と過去最高といった報道がある一方で、税金の滞納額は22年ぶりに9.7%増えて8286億円となっています。

 理由としてはコロナによる最大1年の納税猶予が切れて、滞納としてカウントされるようになったことが大きいです。
コロナの特例猶予は比較的簡単な手続きで無利子で1年待ってもらえて、その期間中は滞納扱いになっていませんでした。
特例猶予が切れる段階で、業績回復や銀行融資によって納付した企業も多かったですが、納付できなかった分は従来の納税猶予制度に移行していて、こちらは滞納として分類され、督促状も発送されています。

 

 滞納されている残高を税目別に見ると次のようになっています。

・所得税 3342億円(前年度比+ 0.4%)
・消費税 3245億円(前年度比+21.6%)
・法人税 1081億円(前年度比+14.3%)
・相続税  561億円(前年度比+ 1.8%)

 税収では所得税が最も多いのですが、源泉徴収の制度があるため、滞納の割合は低くなっています。
一方で消費税は企業が赤字であっても発生する間接税であることやまとめて払うこともあり、滞納が出やすくなっています。
新規発生額で見ると消費税が6割近くを占めていて、国としても回収に重点的に取り組んでいます。

 

 滞納されている税金については、差し押さえなど強硬な手段はすぐには取らず、誠実に対応すれば待ってもらえます。
コロナの特例猶予がなくなったので、今は従来からある「納税の猶予」「換価の猶予」を使うことになります。
提出する書類が増えて手間はそれなりにかかりますが、単なる滞納に比べて延滞税も軽減されますし、納付期限が来る前に税務署に相談して制度を活用した方がいいでしょう。