コロナ禍の税務調査

posted by 2021.08.5

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 税務調査と言うと突然踏み込まれるイメージがありますが、実際には映画のようなケースは稀です。
査察が予告なしで入るケース自体が少ないですし、任意調査であれば最初に代理人である税理士に日程調整の電話が入ります

 仕事柄、税務調査に慣れていても税務署からの連絡はドキッとしますが、税務調査の連絡が多い時期が3月下旬~4月と7月中旬~下旬。
前者は確定申告が終わってから税務署の締日である6月までの期間に該当し、ノルマを達成すべく件数が増えます。
この時期は異動までに必ず終わらさないといけないので、時間がかかりそうな大型調査は少ない傾向があります。
後者は7月10日頃の異動が終わって税務署の新年度が始まる期間に該当し、人事評価にも影響の大きい12月末までが税務調査のハイシーズンになります。
この時期の調査はそれなりの規模のものやしっかり調べたい案件が多い傾向にあります。

 

 ただ、コロナ禍で状況はガラッと変わり、本来調査が多い時期でも件数は大幅に減っています。
接触を避けることももちろんありますし、確定申告期限が1か月延びて調査に行ける時期が短くなっていることも減少の要因です。
緊急事態宣言が出ている地域だと一旦決まった日程が延期されたり、人事異動の時期とも重なってうやむやになっていることもあります。
こちらから「調査に来るって言ってましたけど仕切り直しでいつ来るんですか?」とわざわざ連絡はしないのでそのままなくなった案件もあります。

 税務署としては「どうせコロナで調査にはこーへんし、ちょっとぐらいごまかしても大丈夫やろ」というモラルハザードを最も懸念しているので、非接触でできる電話での問い合わせや書類での調査を強化しています。
リモート調査も実施されていますが、現状では国税局所管の大法人が対象で、試行錯誤しながら実施されているようです。

 逆にこの状況でも来ると決めた調査については、何か既に掴んでいるケースも多いですし、短時間で効率的に調査できるように事前にしっかり下調べもしています。
飲食や観光のように依然としてコロナ禍に苦しむ業種も多いですが、製造業など一部好調な業種もありますので油断せずに通常運転で備えておきましょう。

 なお、どうしても接触を避けたい場合やテレワークで出勤自体が少ない場合などは延期などで対応はしてくれるのでそのあたりは遠慮なく伝えるようにしましょう。