消費税控除の仕組み ①

posted by 2021.07.30

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 消費税は最終消費者が負担する税金で、間に入る事業者は右から左へ受け流す税金です。

 事業者は「預かった消費税」から「支払った消費税」を差し引いて差額を国の納めます。
より厳密な考え方では「支払った消費税」がどんな売上げに対応するかという点にも着目します。
 例えば居住用マンションを所有している場合、家賃は消費税非課税であるため、入居者から消費税を受け取ることはありません。
あるいは医療機関では保険収入が消費税非課税であるため、患者さんから消費税を受け取っていません。
納めるべき消費税がない以上、支払った消費税も控除することができない、というのが消費税の考え方です。

 

 上記の考え方を踏まえて、消費税を計算する際には経費などの課税仕入れについて「課税売上げにのみ要するもの」「非課税売上げにのみ要するもの」「共通して要するもの」に区分して、「非課税売上げにのみ要するもの」は控除できないことになります。
「共通して要するもの」については事業者の課税売上げの割合に応じて按分して控除します。

 なお、中小企業でほとんどが課税売上げであればここまで厳密な計算はせずに払った消費税は全額控除することができます。

厳密な計算が必要かどうかの境界線は次の通りです。
・課税売上げが年間5億円以下
   かつ
・課税売上割合が95%以上

と、ここまでが消費税の基本的な仕組みに関する前置きです。

 

 本題は課税仕入れの目的をどう判断するかという点です。

 不動産業者が転売目的で賃貸マンションを買ったとします。
最終的には建物を売る行為は課税売上げなので、マンションの購入は「課税売上げにのみ要するもの」に該当し、全額控除できることになります(改正前)。
ただし、賃貸マンションなので購入してから転売するまでの間に入居者からの家賃収入が発生します。
この家賃収入は非課税売上げなので、マンション購入費は「共通して要するもの」に該当し、全額控除できる場合に比べて支払う消費税は多くなります。

 さてこのマンション購入費に含まれる消費税はどれだけ控除できるのでしょうか。

(つづく)