昨日の続きです。
競馬による儲けは一時所得になるというところまで昨日解説しましたが、今日はその計算方法から見ていきます。一時所得の計算方法はちょっと変わってます。
まず商売をしていたら「儲け=売上-経費」ですよね。基本的には同じ考え方なのですが、一時所得の場合は「経費」の範囲が狭いのです。一時所得の経費について、条文では「その収入を得るために支出した金額」と定義しています。この条文を競馬に当てはめると、経費となるのは当たり馬券の購入金額だけです。ハズレ馬券の購入金額は経費になりません。
具体例で考えてみましょう。
第1レースで1万円突っ込んで10万円になりました。9万円の儲け。
第2レースでこの10万円を突っ込みましたがハズレ。10万円の損。
本日のトータルはマイナス1万円、というのが普通の感覚でしょうが、税務署の考え方は違います。本日の収入は第1レースの払戻し10万円です。この収入を得るために支出した金額は、第1レースの馬券購入額である1万円だけです。よって本日の儲けは9万円、と考えるのが税務署です。
第2レースに突っ込んだ10万円は収入に結びついていません。収入を得てない、ということは「収入を得るために支出した金額」には該当しません。つまり、ハズレ馬券は経費にならないです。言い方を変えると、当たったレースだけで儲けを計算し、外れたレースは無視する、ということです。変な感じですが、それがこれまでの常識でした。
では裁判でどう判断されたか、というところから最終回へ続きます。