コロナの特例猶予後の手続き②

posted by 2021.04.30

zei_zeimusyo

 前回の続きでコロナの特例猶予後の手続きを見ていきます。

 特例猶予が令和3年2月1日で終了して、その後の手続きとしては「納税の猶予」「換価の猶予」があります。

これらは新しい手続きではなく以前からあるもので、特例がなくなって通常運転に戻ったことになります。
特例猶予は非常時ということもあって審査も緩かったのですが、「納税の猶予」「換価の猶予」は条件が厳しめなので注意が必要です。

 

1.効果
・猶予期間:原則1年
・延滞税 :令和3年は1%(通常8.8%)
・財産の差押えや換価を猶予

 

2.制度による違い
 「納税の猶予」「換価の猶予」、制度が2つありますが、どちらを使うことになるのでしょうか。
納税者から見ると税金の支払いを待ってもらえればいいので、その意味で両者は同じ効果がありますが、前提条件が異なります。
「納税の猶予」は災害等により具体的な損失が発生しているため、その分納税資金が足りない、というイメージです。
これに対して「換価の猶予」は個別の損害というよりも事業全体として納税できる状況ではない、というイメージです。
個別の損害の証明をしなくていい分、「換価の猶予」を使うケースが多いです。
なお「換価の猶予」というのは税務署から見て、”換価(滞納があった場合に財産を差し押さえ、競売にかけて回収する)”をしない、という意味です。

 

3.納税の猶予

① 要件(個別事情の具体例)
・コロナの消毒作業により備品や商品を廃棄した。
・コロナ感染で医療費が多額にかかった。
・休廃業で損失が発生した。

② 猶予期間
・原則1年以内
・災害は最長3年、それ以外は最長2年

③ 担保と延滞税
・担保:原則必要
・延滞税:災害は免除、それ以外は年1%(令和3年)

 

4.換価の猶予

① 要件
・一時に納付することにより事業継続や生活維持が困難になる恐れ
・納税について誠実な意思(ちゃんと連絡することや過去の実績)
・納期限から6か月以内に申請
・他に国税の滞納がない

納付できる状況かどうかは今ある資金と1か月の予想収支から納付可能額を算出して判定します。

② 猶予期間
・原則1年以内
・最長2年

③担保と延滞税
・担保:原則必要
・延滞税:1%(令和3年)

延滞税が低くなるのは換価の猶予申請後です。
申請するまでの期間は8.8%になってしまうため、納期限から6か月以内という申請期限はあるものの納期限までに出すべきでしょう。

④ 添付書類
・猶予税額100万円以下:財産収支状況書
・猶予税額100万円超 :財産目録、収支の明細書

税額が大きい場合は担保となる財産がないか確認するため、財産目録が必要です。内容に応じて試算表や元帳の提示を求められることもあります。

 

 コロナ禍は長期化しており、厳しい状況は続いています。
納税に関しては、まずは早めに税務署に相談しましょう、
なお、地方税や社会保険料に関しては窓口が異なり、制度も異なることから個別に相談が必要です。