前回の続きで従業員退職金に関して、従業員の立場でのQ&Aを見ていきます。
<従業員>
Q4.いくらまでなら税金がかからないのか?
A4.非課税枠(退職所得控除)は勤続20年までが年40万円、20年超が年70万円
勤続10年であれば400万円、30年なら1500万円控除できるので、この金額以下なら所得税住民税はかかりません。
勤続年数は入社日から起算して、1年未満の端数は切上げます。
したがって微妙な場合、例えば10年ピッタリを10年と1日にするだけで控除は40万円増えることになり、払う税金は3万円以上変わってきます。
Q5.退職時の手続きは?
A5.「退職金の受給に関する申告書」を提出します。
退職金は勤続年数で税金が決まります。
もし副業をしていて2社同時に辞めた場合、両方で重複して勤続年数をカウントすることはできません。
そこで他で退職金があるかどうかを会社に伝える必要があり、それを記載するのが「退職金の受給に関する申告書」です。
これを提出しない場合、会社としては正しく税金を計算できないことから仮で20%源泉徴収されることになります。
多めに徴収された20%の源泉所得税は確定申告をすれば還付を受けることができます。
Q6.一時金と年金でどちらが得なのか?
A6.金額や他の所得次第ですが、一時金の方が税金は安くなる傾向があります。
受取額では長く運用できる分、年金の方が多くなりますが、税金に関しては一時金の方が優遇が大きいため、手取りでは一時金の方が多くなりがちです。
一時金の場合、退職所得として課税されます。
まず退職所得控除が1年あたり40万円ないしは70万円と大きく、さらに×1/2して分離課税で所得税が計算されます。
これに対して、年金は雑所得として課税されます。
非課税枠(公的年金等控除)は65歳未満で年60万円、65歳以上で110万円ありますが、これは他の公的年金でも使うのでさほど大きいとは言えません。
さらに年金でもらうと国民健康保険や介護保険の対象にもなります。
厳密に計算するには勤続年数、他の年金の受取額などの情報も必要ですし、何歳まで再就職して働くかといったライフスタイルも関わってきます。
次回は役員退職金について見ていきます。