役員退職金Q&A ① 計算編

posted by 2021.03.10

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 前回の続きで退職金Q&Aの役員編を見ていきます。

 まずは支給額をどう決めていくかという計算編です。

 

<計算編>

Q1.退職金規程は必要?

A1.なくても支給できるが客観性低い

従業員と同様、規程がなくても退職金は支給できます。
ただし、同族会社では支給額を決定する人と受け取る人とが身内ということも往々にしてあるため、恣意的と捉えられる恐れがあります。
そこで規程を作っておくことで恣意性を排した客観性のある決め方であることを主張できます。

 

Q2.規程より少なく(多く)支給することはできる?

A2.能だが多く支給するには説明必要

規程には基本的な計算方法を書きますが、これは”上限”のイメージなので経営状況や貢献度を加味して規程以下の金額になることは問題ありません。
規程を超えて多く支給するのは規程の意味がなくなるので難しいですが、特に貢献度が高い人には功労加算金として最大3割上乗せすることは可能です。
功労加算金については規程に織り込んでおく必要があります。

 

Q3.役職が変動していればどう計算する?

A3.役職ごとに計算することも最終役職で計算することも可能

役員退職金の計算式=最終月額報酬 × 在任期間 × 功績倍率

功績倍率は役職によって決まっていますが、退職までに「取締役⇒代表取締役⇒監査役」というように役職が変わることもあります。
この場合、役職ごとに違う倍率を使うことも可能ですし、最高位の役職を使うことも可能です。
また最終報酬月額の部分も退職直前は下がっていることもあるので、最高報酬月額を使うことも可能です。
計算方法にはある程度の幅がありますが、いずれにしても規程の中で謳っておく必要があります。

 

Q4.手続き

A4.原則は株主総会での決定ですが、取締役会に一任することも可能

重要な決定事項であるため、原則として株主総会で決定しますが、規程に基づいて支給金額や時期などを取締役会に一任することも可能です。

 

 次回は金額の相場を含めた税務編です。