免税店の税務調査

posted by 2020.10.29

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 免税店に対する税務調査が強化されているようです。

 読売新聞の記事によると、全国の免税店などを対象に一斉調査が行われ、約80の法人と個人に約40億円が追徴されています。
このうち約30億円は金地金買い取り業者2社への課税で、金地金を買い取った時の帳簿の記載に裏付けがなかったというものでした。
恐らく架空の仕入れを計上して消費税の還付を受けたものと考えられます。

 

 調査が強化されている背景としては次のような事情があります。

・金地金の密輸で消費税分の利ザヤを取る不正が多発している。

・消費税が10%になり、免税の影響が拡大している。

・令和2年4月から免税手続きの電子化が強制されている。

 

 免税手続きの電子化に関しては、経過措置である令和3年10月1日以降は電子化できていないと免税販売ができなくなるので、届出内容を確認する意味合いもありそうです。

 電子化されると販売の都度、購入記録に電子証明をつけて国税庁へ情報を送信することになります。
国税庁が把握している情報と実際とが一致していなければ免税は受けられませんが、電子化によりその精度は上がります。

 消費税10%が免税になるというのは大きな差なので免税店の手続きは厳格で、届出が適切に行われているか今のうちに確認しておく必要があります。

<移転した場合>
 廃止した上で移転後の場所で新たに許可を受ける必要があります。これは百貨店内でフロアが変わるだけでも必要です。

<免税カウンターがある場合の移転>
 免税を集中的に処理するカウンターがある商業施設(手続委託型輸出物品販売場)の場合は、施設内の移動であれば手続きは不要です。

<本店移転があった場合>
 運営会社の本店が移転しても免税店に変更がなければ届出は必要ありません。

<住居表示の変更>
 行政の都合により免税店の住居表示が変わった場合であっても「異動届出書」の提出が必要です。

<合併、営業譲渡、相続>
 継続性があるので許可はそのまま引き継がれそうな印象がありますが、以前のものを廃止して新たに許可を受ける必要があります

 

 改正に関することでは、令和3年10月から”自動販売機型免税店”も認められることになりました。
外国人観光客が戻るのはまだ先になりそうですが、新しい生活様式に対応できる自動販売機型が今後は増えていくのかも知れません。