路線価の減額補正見送り

posted by 2020.10.30

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 国税庁から上半期の路線価に関して減額補正を行わないことが発表されました。

 路線価は1月1日を評価時点として7月1日に発表されていますが、7月の発表時点で次のコメントがついていました。

「今後、国土交通省が発表する都道府県地価調査の状況などにより、広範な地域で大幅な地価下落が確認された場合などには、納税者の皆様の申告の便宜を図る方法を幅広く検討いたします」

 後半が抽象的で分かりづらいですが、コロナの影響で路線価が時価を下回る場合には15~20%程度の一定率を掛けて減額補正することが検討されていました。
前半の都道府県地価調査というのは、基準地価と言われるもので7月1日を基準日として9月下旬に公表されています。
今年の場合は、全国平均で▲0.6%と3年ぶりに下落しましたが、極端な下落ではありませんでした。

 基準地価は不動産鑑定士による評価が元になっているので時価に近いと言われています。
路線価はこの基準地価公示価格8割程度で評価されていて、ある程度の変動はこの2割の中で吸収しています。

 

 コロナによる下落は、国税庁の調査(全国約1900か所)によると、1~6月で15%以上下落したのが6か所、最大で19%(名古屋の錦と大阪の宗右衛門町)でした。
都市部では大幅な下落が見られるものの”広範な地域で大幅な地価下落”とまでは言えないため、路線価の減額補正は見送られています。

 1月に亡くなった場合は10か月後の11月が相続税の申告期限であるため、1~6月分に関してギリギリの今の時期の発表となったようです。
7~12月分に関しては今後の状況で改めて判断されます。

 

 では都市部などで極端に時価が下落している場合や、売っても路線価以下だった場合はどう評価すればいいのでしょうか。
路線価を使わない評価に関しては次回以降見ていきます。